
栗林庵は、香川県が設立した(一財)かがわ県産品振興機構が運営している。290㎡の売り場面積で、食品や伝統工芸品など約2,500点の県産品を販売。栗林公園の東側、入園料を払わずに入れる場所にあり、買い物だけの利用もできる。2013年3月のオープンから順調に売上を伸ばしてきた。18年度の売上は約2億6千万円だった。
貪欲に学ぶ
卒業後、テレビ局への就職はかなわなかったが、原宿と渋谷にあった好きな雑貨店で働けた。いつかは自分の店を持ちたいと考え、社長から学べるものはすべて吸収した。薦められた本や音楽はすべて試し、「交通費を自分で払うから仕入れに同行させてほしい」と頼んだこともある。
「生意気だったと思います。学ぶことにすごく貪欲でした」。5年働いて25歳で結婚、夫の地元である香川へ。高松市のトキワ街近くで雑貨店を開いた。当時は雑貨店や古着店が多く、杉本さんの店にも学生や流行に敏感な若者が集まった。しかし、商店街から1店また1店と減り、にぎわいが感じられなくなった。6年で店をたたみ、香川の県産品を販売するさぬき産業工芸館サンクラッケの立ち上げに参加。その後、栗林庵の店長公募に手を挙げた。
みんなで店を作る
栗林庵を買い物するだけの場所にしたくなかった。工芸品のワークショップや県産品の試食販売を積極的に行う。お客さんと作り手との交流が生まれ、作り手は会話から商品改良のヒントを得られる。「売り手の私たちは、商品があって商売が成り立つことを忘れてはいけません。大事な商品を預かり、作り手に代わって魅力を発信するんです」
商品開発の相談を受けることも多い。杉本さんをはじめスタッフは、パッケージやサイズ、値段設定などを作り手と一緒に考える。「みんなでお店を作っている感覚です。『香川のものを買うなら栗林庵』と言われるようになったらうれしい。目指すは何でもそろうデパートのような店。老舗になりたいですね」
子どもを伝道師に
休日には県産品の製造現場を見に行ったり、ワークショップに参加したり。杉本さんの2人の子どもにもなるべくいろんな体験をしてほしいと考えてきた。「ふるさとを語れない子どもが増えることに危機感を覚えています。子どもたちに香川の魅力の伝道師になってもらいたい」
地元小学校の子どもたちにも、機会を見つけて郷土玩具の歴史などを話している。

杉本さんの郷土玩具コレクションの一部。東北から九州まで様々な玩具がある
鎌田 佳子
杉本 里香|すぎもと りか
- 略歴
- 1975年 千葉県生まれ
1993年 愛国高等学校 卒業
1995年 文化服装学院 卒業
東京の雑貨店勤務、香川での雑貨店経営、サンクラッケでの勤務を経て
2013年 栗林庵 店長
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