人やモノを魅力的な「ブランド」にする

Global Core 代表 本多志保さん

Interview

2019.06.20

2017年、当時まだ香川にはいなかった「パーソナルコーディネーター」として起業した。好みや着るシチュエーション、なりたいイメージなどを聞き出して事前に10軒あまりのお店を下見、その中からお客さんに合う洋服を選んで提案する。

「母が洋裁をしていて、子どもの頃の服は手作り。昔から洋服が大好きでした」。中学生になると、Tシャツやトレーナーを切ってシャツとつなげてワンピースをつくるなど、自分でリメイクしていたという。「リメイクした服を着ていくと、友達が驚いてくれるのが嬉しくて」。高校卒業後は、東京の美術短期大学で服飾デザイン、パターンの起こし方、縫製、ディスプレイ……とすべての工程を学び、憧れのデザイナーの洋服を扱うショップに就職した。

その後、洋服を買い付けるバイヤーとして活躍。月の半分を海外で過ごすほど多忙だった。転機となったのは、結婚・出産を経て高松に帰郷したこと。「今の生活をしながら子育てするのは難しいと思いました」

自分にできることは何か。思い出したのは、ショップで販売していた時のことだった。勧めた洋服を「こういうのが欲しかった!」と喜んでくれる、買った洋服をほめられたと再来店してくれる。その時の何ともいえない嬉しさ。「今までの知識や経験が生かせる。それに、お店に同行して一緒に選ぶスタイルだから、初期投資もいらないし在庫を抱えるリスクもないと思いました」
店舗で提案中の様子

店舗で提案中の様子

起業した当初は「おしゃれになってほしい」という思いで、洋服を提案していた。しかし、続けるうちに洋服の力でできることはもっとあるんじゃないかと考えるようになった。30代の若手経営者をコーディネートした時、ビジネスでもう少し上を目指したいという思いを聞き、今より“背伸び”した洋服や時計などを勧めた。最初は戸惑っていたが、買ったものを身に付けると、目標にしていた先輩経営者から声をかけられるようになり、意識も行動も変わった。数年後には年商が倍になったという。

「お客様が実績を上げるのを目の当たりにすると、洋服は自分の価値を上げる武器にもなるんだと実感しました」。これからは、イメージ戦略の一つとして洋服を提案してみたい。そこでブランディングやマーケティングを勉強した。

カウンセリングでは、ファッションの好みだけではなく「あなたの会社の目指すところは」「コアなターゲットは」と質問するようになった。「洋服を一つの切り口にして、一緒に会社の戦略を立てる感じですね」。今年から、肩書をファッションコンサルタントから「ポジショニングブランディングコーチ」に変えた。
講演会で

講演会で

現在、顧客の7割近くは男性のビジネスマンだ。今後は、女性の経営者に自身の起業体験を伝える仕事もしていきたいという。高い学費を払ってスクールに通ったが当初はネット集客がうまくいかなかったこと、ファッションコンサルタントのことを知ってもらうため、起業前に10人以上無料でコーディネート体験をしてもらったこと……。「素晴らしいアイデアで起業して、いいことをしているのになかなか軌道にのらないという悩みを聞くことも多い。私の経験が何かの役に立てば」

今も変わらず洋服が好きだという。「大好きな洋服を通して、出会った人たちを輝かせる。こんなに楽しい仕事はありません」

石川 恭子

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