人の交流生み、四国観光の拠点に

BED N CHILL 七宝屋(ベッドアンドチルしっぽうや)代表 藤田誠二さん

Interview

2019.10.17

藤田誠二さん、彩さん、勇吹くん(3歳)、夏央くん(1カ月)

藤田誠二さん、彩さん、勇吹くん(3歳)、夏央くん(1カ月)

今年4月、三豊市三野町にオープンしたBED N CHILL七宝屋。藤田誠二さん(37)・彩さん(34)夫妻が営むゲストハウスだ。外国人観光客と四国八十八ケ所霊場を回るお遍路さんが、誠二さんの考えるターゲット。「地元の三豊で、遍路道沿いの駅から近い場所でゲストハウスをしたかった」と話す。

七宝屋は70番札所・本山寺から71番札所・弥谷寺に向かう途中にある。築50年ほどの住宅を改装し、敷地内に離れのゲストハウスを新築。

三豊市の七宝山のように地元で誰もが知っている存在になること、円がいくつも重なる七宝柄のように人との縁を広げていきたいとの思いを込めて、宿の名前を付けた。「徳島、愛媛、高知へのアクセスもいい場所。ここを拠点にして、お客さんに四国を楽しんでほしい」

誠二さんは高校卒業後、関西で進学、就職した。ホームセンターや専門商社で働いた7年間の会社員時代は、東南アジアの国々を回ることと、四国遍路が趣味。歩き遍路をして感じたのが、安く泊まれる宿が少ないということだった。

29歳の時、会社を辞めてカナダへ。「30歳を前にこのままでいいのかと考えて。外大を出たのに英語を話せないのが嫌だったので、まず留学を決めました」。学校で英語を学んだ後は日本食の居酒屋の社員になって、調理やホールを担当した。

奈良県出身で看護師をしていた彩さんとは、お互いの留学先のカナダで出会った。二人でいろいろなところへ旅行に出掛けたが、特に思い出深いのがブラジルだ。2014年のサッカーワールドカップにあわせて訪れた。リオデジャネイロに5日間ほど滞在。民泊情報サイトのAirbnb(エアビーアンドビー)を使って宿を探し、30代のブラジル人男性の自宅に泊まった。

「空き部屋を提供しているだけなので、その人にとって宿泊業は仕事じゃない。なのに、サービス精神旺盛で、日本人観光客が知らないようなお店に毎日連れて行ってくれたんです」と誠二さん。彩さんも「ホスピタリティーあふれる人で、七宝屋はその人の影響を受けていますね」と振り返る。

誠二さんは、お遍路の経験と旅行での宿泊体験からゲストハウスをやろうと決めた。彩さんも賛成だった。
2017年10月に帰国して準備を始めた。今のところ日本人観光客の宿泊が多いが、父母ヶ浜の人気や瀬戸内国際芸術祭もあって外国人客も少なくない。しまなみ海道を渡るサイクリストやバイカーの利用も多い。七宝屋の共有スペースでは、宿泊客同士だけでなく地域の人たちとの交流も生まれる。

「もっともっとお遍路さんと外国人観光客に泊まってほしいですね。お遍路文化をさらに広めていきたいし、今まで自分たちが経験したような楽しい宿泊体験をお客さんにも提供したい」と誠二さん。海外の宿泊予約サイトやお遍路のガイドブックに記事を掲載するほか、SNSは英語で情報発信している。

来年には、敷地内に居酒屋を作りたいと考えている。「昼間はコーヒーも出して、近所の人がもっと気軽に遊びに来られる場所にできれば。愛媛、高知、徳島にも七宝屋を作れたらうれしい」

鎌田 佳子

藤田 誠二|ふじた せいじ

略歴
1982年 三豊市生まれ
2001年 観音寺第一高校 卒業
2005年 関西外国語大学 卒業
関西での会社員、カナダでの飲食店勤務を経て
2019年 BED N CHILL七宝屋 オープン

BED N CHILL七宝屋

住所
香川県三豊市三野町大見甲436-1
設立
2019年
事業内容
宿泊業務
男女混合ドミトリー 1ベッド/3,500円
個室(最大3名)1部屋/10,000~13,000円
個室(最大4名)1部屋/11,000~18,000円
TEL
0875-82-9436
090‐4970‐1654
地図
URL
https://www.bncshippoya.com/
確認日
2019.10.11

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