比類なき会社が挑むサービスの“経年優化”

穴吹エンタープライズ 社長 三村 和馬さん

Interview

2022.12.01

穴吹エンタープライズが管理運営する高松国際ホテル=高松市木太町

穴吹エンタープライズが管理運営する高松国際ホテル=高松市木太町

十人十色の「期待値」に応える

「穴吹エンタープライズとは何の会社ですか?」。この問いかけに、三村和馬社長(50)は「得体の知れない会社です」と笑顔で即答し、こう続けた。「他と比べることのできない、オンリーワンな会社ですね」

穴吹エンタープライズは、ホテル、旅館、ゴルフ場や劇場、道の駅や公共施設など様々な場所に社員を送り、施設の管理やイベントなどの事業運営を手掛けている。香川県県民ホール、高松国際ホテル、サンメッセ香川や香川県総合運動公園など、“地域の顔”となっているシンボリックな施設のほとんどを穴吹エンタープライズが支えていると言っても過言ではない。「その一番の原動力は何といっても社員です。社員こそが、我が社の宝であり財産」と三村さんは力強く話す。

管理運営する施設が多岐にわたるほど、顧客は千差万別。ニーズが違えば、プロセスも料金も違う。「共通するのは、お客様の『十人十色の期待値』に応えなければならないということ。社員らは様々な施設を経験することであらゆるサービスを学び、どんどんレベルアップしていきます」

建物の“経年劣化”は避けられないが、サービスは逆に、時が経つほどに磨きをかけられる。「サービスの経年“優”化」。三村さんが掲げる大きな目標だ。

「非施設」へサービスを拡大

ホテル・旅館事業「あなぶきホテルズ」が販売する おせち料理「和洋おせち二段・三段重」

ホテル・旅館事業「あなぶきホテルズ」が販売する
おせち料理「和洋おせち二段・三段重」

穴吹エンタープライズは「施設管理・運営のプロフェッショナル」かと思いきや、“比類なき”会社の領域は、それだけにとどまらない。「これまでは施設運営が中心でしたが、今後は施設にとらわれない“非”施設事業にも力を入れていきたい」

三豊市で展開している「放課後児童クラブ」。学校の授業が終わってから保護者が仕事を終えて帰宅するまでの間に子どもたちを預かる「学童保育」だ。5年程前から詫間町で、一昨年からは山本町でも事業をスタートさせた。さらに「今まさに進行中なので詳しくは話せませんが、教育現場が抱える大きな悩みを公民連携で解決しようと、ある試みに挑んでいます」
三村さんは「これからは地域の様々な課題の解決にも貢献していきたい」と力を込め、「私たちは、ホテルマンにもゴルフ場の支配人にも劇場の館長にもなれるし、子どもたちとも触れ合える。自ら成長したい人にはとても面白い会社だと思う」と楽しそうに話す。だが、“比類ない”には、まだ続きがある。「今年はミュージカルをつくり、全国ツアーに出ます」
全国ツアー中のミュージカル「クリスマス・キャロル」。 主演の吉田栄作さん(左)と早見優さん

全国ツアー中のミュージカル「クリスマス・キャロル」。
主演の吉田栄作さん(左)と早見優さん

人気俳優の吉田栄作さんや早見優さんらが出演するミュージカル「クリスマス・キャロル」。クリスマスの夜を舞台に繰り広げられる心温まるファンタジーだ。「きっかけはコロナ禍です。東京から仕入れていた実演の舞台芸術などのコンテンツがなくなってしまい、ホールや劇場で催しが開けない。じゃあ、自分たちで創ろう!と」。全国各地の同業者に問い合わせると、「どこもコンテンツ不足が深刻だった。それも背中を押してくれましたね」

三村さん自身が立ち上げた、イベントなどを主催するグループ会社「あなぶきエンタテインメント」の社員が中心となり、演出、台本、音楽などを一からつくり上げた。今まさに全国ツアーの真っ最中で、12月25日のクリスマスまで、香川をはじめ、北は秋田、盛岡、南は長崎、熊本、ミュージカル製作を応援してくれた地方の劇場20カ所を回る予定だ。

「幅」が人生を豊かにする

「不動産の会社に入社したのに、まさかこんな人生が待っていたとは…」と苦笑する。

1992年、マンション分譲など不動産開発の大手、穴吹興産に新卒で入った。マンション分譲事業、経営企画やM&Aを手掛けるなど会社の最前線で奔走。順調にキャリアを積み重ねていた。だが、脂がのった30代半ばに異変が起こった。「いわゆる『燃え尽き症候群』というやつですね」。知らぬ間に疲労が蓄積されていた。

そんな三村さんを救ってくれたのが、「気分を変えてみろ」と穴吹興産の穴吹忠嗣社長が送り出してくれたグループ会社の「穴吹エンタープライズ」だった。職種が全く違うので最初は不安だったが、「施設を利用されたお客様から直接『ありがとう』と言ってもらえる仕事は楽しかった。喜ばれることで『もっと良いサービスをしよう』という好循環が生まれました」。キャリアがシフトチェンジした瞬間だった。

「これほど人生が豊かになるとは思ってもみなかった」。三村さんは、これまでの歩みをこう振り返る。信条は“人生の長さ(命)は誰にも分からない。でも、人生の幅(経験・感動)は自分で選択できる。幅が太くなるほど人生は豊かになる”。「社員の『幅』が太くなるような環境を整えていくのが私の仕事。社員もお客様も、ワクワク、ニコニコできるよう、もっともっと得体の知れない“比類なき”事業体にしていきたいですね」

篠原 正樹

三村 和馬 | みむら かずま

略歴
1971年 岡山市生まれ
1990年 岡山県立邑久高等学校 卒業
1992年 岡山会計学館経理専門学校(現ビーマックス)卒業
     穴吹興産 入社
2008年 香川県県民ホール 出向
2011年 穴吹エンタープライズ 総合企画室長
2012年 執行役員 香川県県民ホール 館長
2015年 穴吹エンタープライズ 取締役 公民連携(PPP)事業部長
2019年 あなぶきエンタテインメント 代表取締役社長
2022年 穴吹エンタープライズ 代表取締役社長

穴吹エンタープライズ株式会社

住所
香川県高松市古新町9-1
代表電話番号
087-825-0556
設立
1987年7月22日
社員数
640人
事業内容
ホテル・旅館事業 、スポーツ健康増進事業 、サービスエリア事業、指定管理者事業、関連事業
資本金
4000万円
URL
https://www.anabuki-enter.jp/
確認日
2022.12.01

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