制度が変わっても基本は同じ 問題を解くカギは「読解力」

ビジネス香川編集室

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2020.01.03

2020年度から始まる「大学入学共通テスト」をめぐっては、2019年11月に英語の民間試験の活用が延期され、12月には国語と数学への記述式問題の導入が見送られた。度重なる変更に受験生や保護者の間では不安が高まっている。

とはいえ「制度が変わっても勉強の基本は大きく変わらない」という高松高等予備校事務局長・山口達哉さん。山口さんに勉強のポイントを聞いた。

高校入試でも、文章を読み取る力が問われる傾向

「新たな大学入学共通テストでは思考力や判断力が問われる傾向が打ち出されていますが、それに合わせるように高校入試も数年前から少しずつ変わっています」と山口さん。

暗記すれば解答できる問題では差がつかない。今は、国語だけではなくどの教科も文章を読み取る力がないと、点数は取れないという。
また、新聞などに出てくる言葉や時事問題についても、きちんと理解しておく必要があると指摘する。

勉強する上でおさえておきたいポイントは

読み取る力が求められる一方で、OECDが進めている国際的な学習到達度調査(PISA)で2018年、日本は「読解力」の平均点が前回調査(2015年)より低下。特に、自由記述式の正答率が低かった。

SNSの普及で長文を読む機会が減ったことなどが原因として指摘されているが、「やはり、本や新聞を読む生徒の方が読解力は身に付きます」。スマホなどで自分の必要な情報だけ読む=好きなものだけ食べる「バイキング」だとすると、興味のない情報も目に入る新聞は、栄養バランスのとれた「学校給食」。興味がない文章も読んでみることで、読解力は身に付くという。

勉強を進める上でのポイントは「優先順位」。「今は、何かを調べようとすれば簡単にできるし塾もあるから、授業がおろそかになっている生徒も多い。それは本末転倒です」。まずは、目の前にある授業を大事する。「予習」してどこが分からないかノートに書き出し授業に臨む。テストで間違った問題は、徹底的に取り組んで自分のものにする。

「テストは健康診断と同じ。悪いところが見つかれば、そこを改善することが第一です。中学の基礎が完璧にできていれば、大学入試でもある程度の点数は取れると思います」と山口さんはいう。

気持ちが大事

本を読む、授業を大切にする、テストで見つかった弱点を克服する。これらに取り組む上で、忘れてはいけないのはモチベーションだ。「必要だからと嫌々やるのと、自分から興味をもって取り組むのでは、同じことをやっても格段に差が付きます」

意識を変えるのは生活習慣から。まずは「起床、勉強開始、就寝の時間」を決めてそれを守る。「自主的に勉強できるかどうかは、自己管理能力。自己管理が必要なのは仕事でも同じです」

子どもの意欲には、家族の姿勢も影響する。「いくら本を読もう、勉強しようと言っても親が本を読む姿を見せていないのでは、説得力がないかもしれませんね」。大人には耳の痛い話だ。

入試問題、あなたは解けますか?

例題1 (2019年度香川県公立高校入試「数学」より抜粋)
ある製品を検査する検査場が工場内につくられた。検査場内にはすでに検査前の製品が持ち込まれて保管されている。検査を始める日を1日目として、その日から検査場には毎日、午前10時に5個の検査前の製品が追加され、これは検査場内の製品がなくなるまで続く。

製品の検査は午後におこなわれる。4人の検査員A、B、C、Dがおり、検査にあたる日には、検査員ごとに決められた一定の個数の製品を検査する。検査員Aと検査員Bが検査する1日あたりの製品の個数はそれぞれ3個である。検査員Cが検査する1日あたりの製品の個数は、検査員Dと同じである。また、いずれかの検査員により検査された製品はその日のうちに出荷される。

(図省略)

検査作業の計画を立てたところ、1日目から7日目まで毎日、検査員A、B、Cの3人で検査をして、8日目から毎日、検査員B、Cの2人で検査をすれば、21日目に検査員B、Cがそれぞれ決められた個数の製品を検査して出荷し終えた時点で検査場内の製品がはじめてなくなることがわかった。

実際には、検査員が検査する1日あたりの製品の個数は計画と変えず、1日目から3日目まで毎日、検査員A、B、Cの3人で検査をして、4日目から毎日、検査員B、C、Dの3人で検査をしたところ、11日目に検査員B、C、Dがそれぞれ決められた個数の製品を検査して出荷し終えた時点で検査場内の製品がはじめてなくなった。
これについて、次のア~ウの問いに答えよ。

(中略)

ウ:1日目の午前9時に検査場内にあった製品の個数と、検査員Cが検査する1日あたりの製品の個数はそれぞれ何個か。1日目の午前9時に検査場内にあった製品の個数をx個、検査員Cが検査する1日あたりの製品の個数をy個として、x、yの値を求めよ。x、yの値を求める過程も、式と計算も含めて書け。

例題1の解答例

作業の計画についてx、yを使った式で表すと
1~21日目に追加された製品の個数は、5×21=105個
1日あたり検査する製品の個数、検査員AとBは3個、Cはy個
1日目から7日目までに検査する製品の個数は、A、B、Cの3人で7(3×2+y)個
8日目から21日目までに検査する製品の個数(14日間)は、B、Cの2人で14(3+y)個x+105=7(6+y)+14(3+y) x=21y-21…①

実際に、1日目から3日目までに検査員が検査した製品の個数は、
3(3×2+y)=(3y+18)個
4日目から11日目までに検査員が検査した製品の個数は、8(3+2y)=(16y+24)個
また、1日目の午前9時に検査場内にあった製品と1日目から11日目までに追加された製品の総数はx+11×5=(x+55)個で、これは1日目から11日目までに検査した製品の総数と等しいから、x+55=(3y+18)+(16y+24)

整理すると、x=19y-13……②
①、②を連立方程式として解くと、x=63、y=4

【答え】xの値 63、yの値 4

例題2と解答例

(2018年度香川県公立高校入試「社会」より抜粋)

持続可能な社会とはどのような社会のことか。現在 将来 の二つの言葉を用いて、簡単に書け。

解答例
将来の世代の幸福と現在の世代の幸福とが両立できる社会。

学校法人 高松高等予備校

住所
高松市観光町547−1
TEL:087-834-1015
FAX:087-863-3088
開校
1962年
直営寮
楠上、上福岡、木太、春日、屋島
多肥、仏生山、福岡
沿革
1962年 大学受験校 高松予備校として開校
各種学校として設置認可
1973年 学校法人認可
高松高等予備校に名称変更
2002年 付属診療所なりあい医院 開院
2004年 亀井町教室 開校
2005年 各種学校から専修学校に変更
2012年 丸亀市幸町に通学型通信制高校
村上学園高等学校を開校
2015年 高松高等予備校本校を観光町へ移転
確認日
2018.01.04

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