
高松市香南町のキウイ畑。収穫後、次のシーズンに向けて枝は剪定しておく
2019年11月に販売を始め、口コミやSNSで話題に。キウイを使ったボムパンは、今シーズンの販売を2月いっぱいで終了。最後の土日は用意していた200個が完売した。キウイボムの代表を務める中野裕史郎さん(45)は、中野建設興業の社長でもある。

「香南朝市」で販売のフルーツサンド「ボムパン」。
キウイフルーツのものは2月で終了。3月以降は他の果物を使って作る
今から10年ほど前、公共事業が減り、工事の受注も減っていく中で「何とかしなくては」と考えた。「うちは重機が使えるので、土地の造成ができる。生かせることはないかと、オリーブ栽培やたい肥の製造……いろんな事業を見に行きました」
2010年に県が開催する新規就農塾の「かがわアグリ塾」を受講。そこで、香川ではキウイの品種改良に力を入れていることを知った。「異業種に参入するとなると、回りからはすぐ『儲かるの?』と聞かれる。儲けだけを気にしていたら、挑戦はできません」。同時期に農業への参入を考えていた高松市内の建設会社の存在も励みになった。「悩みを話せるし、情報量は2倍になります」
11年にキウイボムを設立。キウイが香川で爆発的な人気になるようにと、社名を付けた。耕作放棄地を耕し、栽培を開始。3年目から収穫できるようになった。19年は10㌧を収穫。大半は農協を通して小売店で販売している。県や県内のキウイ農家から指導を受けながら栽培を続けてきたが、肥料設計や果樹棚の設置はまだまだ難しいという。

5~10月にイベントなどで販売するかき氷「ボム氷」
ダイワスーパーを参考に、夏からキウイのジャムを使ったかき氷「ボム氷」、秋からフルーツサンド「ボムパン」の製造と販売を始めた。ボムパンは1個650円で、安いとは言えない価格だ。「青果を作って売るだけでは厳しい。付加価値が必要です。おいしいものを届けて、お客さんの『安くていいもの』がほしいという意識を『いいものは高い』に変えていきたい」
中野さんは建設業と農業、どちらが本業・副業という線引きはしていない。「経営者は一つのことに縛られず『他ごとをしてなんぼ』だと思います。いろんな目線で考えないといけない」
10歳の長女が小学校の参観日に「将来はキウイを売りたい」と発表した。「こんなにうれしいことはない」と話す中野さん。いずれはボムパンとボム氷を販売する直営店をオープンしたいと考えている。キウイ畑は、現在の2㌶を4㌶まで拡大するのが目標だ。
鎌田 佳子
中野 裕史郎|なかの ゆうじろう
- 略歴
- 1974年 高松市生まれ
1993年 香川県立高松南高校農業土木科 卒業
1997年 日本文理大学工学部 卒業
2001年 中野建設興業 入社
2011年 キウイボム 設立
株式会社キウイボム
- 住所
- 香川県高松市香南町由佐78‐2
- 代表電話番号
- 087-879-2252
- 設立
- 2011年設立
- 事業内容
- キウイフルーツの栽培、加工品の製造・販売
- 地図
- URL
- https://www.facebook.com/Kiwibomb/
- 確認日
- 2020.03.13
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