「讃岐の食文化」の素朴な疑問⑭

野菜ソムリエ上級プロ 末原 俊幸

column

2023.05.04

4月になっていろいろな豆を
店頭で見かけるようになりました。

先月ご紹介した「アスパラガス」は、香川県を代表する春野菜ですが、生活に密着した春の野菜と言えば「マメ類」ではないでしょうか。マメ類は、成熟した乾燥豆は大豆、小豆、緑豆など、栄養価の高い保存食となるだけでなく、未熟な状態では野菜として利用できると、とても利用価値の高い作物です。また、栄養価や汎用性の高さだけでなく、水田や畑など、土地にこだわらずに栽培でき、狭い面積でもそれなりの収量が挙げられる栽培面での優位性もあります。

全国各地に地域色豊かな豆の品種が存在するのは、それぞれの地域で食生活を支えてきた証しだと考えられます。香川県でも、押し抜き寿司にはソラマメ、ばら寿司(ちらし寿司)には金時豆など、マメが登場しますし、湯がいて小さく切ったインゲンマメ(青果物として)を料理にあしらうなど、料理の彩としても欠かせません。もちろん、讃岐の郷土料理には欠かせない油揚げなどの豆腐製品もマメが原料です。

さて、香川県ではどのようなマメが栽培されてきたのでしょうか。残念ながら、いわゆる郷土野菜と言われるマメは香川県には現存しないとされています。また、高松市中央卸売市場に入荷される青果物としてのマメ類もその多くが、マメ類の主産地である、高知県や鹿児島県産のものです。

しかしながら、香川県内で栽培されているマメは実に豊富で、4月上旬のエンドウマメ(サヤエンドウ、スナップエンドウ、グリーンピース)に始まり、5月はソラマメ、6月、7月はエダマメ、そして6月から11月までの長期に渡ってインゲンマメと、それぞれマメの季節になると、香川県産のマメが出荷され、店頭をにぎわせます。

これから半年間、野菜売り場を注意して観察していただければ、香川県産のマメ類の豊富さに気が付いていただけると思います。

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

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野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

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