香川県産ブロッコリー

野菜ソムリエ上級プロ 末原 俊幸

column

2019.12.19

ブロッコリーはつぼみの部分を食用とするため、畑を見るとそれがブロッコリー畑とは一目では分かりません。ですが、県内のあちこちに、ブロッコリー産地が存在しています。そして近年、香川県が全国有数のブロッコリーの生産地であることが注目され始めました。

野菜生産出荷統計を年度ごとに順位を追ってみると、香川県がここ5年で一気に大産地に成長していることが分かります。他の産地が横ばいで推移する中、栽培面積、出荷量ともに10年で倍増しています。

全国1位の産地は北海道で、他産地の追随を許しませんが、作型としては夏場の産地であるため、市場においては冬場の産地である香川県と競合していません。香川県産のブロッコリーは、全国2位の愛知県に肉薄する勢いで成長しており、日本の冬場のブロッコリー市場において、愛知県と香川県とが、今まさにトップの座をかけてデッドヒートを繰り広げていると言えるでしょう。

では、全国一狭い香川県で、このようにブロッコリーの栽培が増えたのはなぜでしょうか。冬場が温暖であるという香川県の気候風土。既に冬場のレタス産地としてのノウハウがあったため、レタスの代替品目としてブロッコリーがスムーズに普及したという栽培面だけでなく、JA香川県による育苗、箱詰めなどの生産支援。また、行政による生産振興と様々な要因が重なったからでもあるのでしょう。このあたり、先月紹介した100年前の香川県における富有柿の産地化の流れと、よく似ていますね。

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

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