
セレベスの栽培風景
1000年前、日本で「イモ」といえばサトイモのことを指しました。サトイモは万葉集にも登場するほど昔から日本に定着して利用されてきたイモです。一方、サツマイモとジャガイモが日本に入ってきたのは17世紀初頭。特に18世紀に幾度となく日本を襲った飢饉(ききん)を経ることで、日本中に栽培が広まったと言われています。18世紀に編集された高松松平家植物図鑑「写生画帖 蔬菜(そさい)」に描かれたサトイモのバリエーションの多さからも、当時のイモ栽培の状況を知ることが出来ます。

さて、讃岐のイモの収穫期は4回あります。まずは今の季節、春に植えたサツマイモが最盛期を迎え、そして少し遅れてサトイモが年末に向けて出荷を迎えます。12月になれば稲刈りの後に植えたジャガイモが収穫を迎え、そして、収穫後にもう一度植えられ、6月に2度目の収穫期を迎えます。1年間に2回収穫出来るので、「二度芋」の愛称でも親しまれています。
イモ類は、栄養価も高く貯蔵性にも富み、収穫後は保存食として重宝されました。そしてある程度貯蔵して、芽が出て食べるに適さなくなったら、また植えるというサイクルで1年間作り続けられてきたのです。
讃岐の温暖な気候を利用して、周年栽培ともいえるイモの作付体系が組まれているのですね。
今では年中店頭にイモが並びますが、よく見ていただくと、季節の移ろいとともにイモの種類が少しずつ変わっていることに気が付かれることでしょう。ここにも、半世紀以上前の讃岐の食生活の名残りが姿を現しているのです。
セレベス

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん
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