「はざまいちじく」を全国区に

株式会社Bettim/篠原仁一朗さん

Interview

2021.08.19

Bettimの皆さん。中央が篠原さん

Bettimの皆さん。中央が篠原さん

まんのう町のBettim(ベッティム)は、野菜や果物を生産・販売する農業法人。サツマイモ、ブロッコリー、ホウレンソウのほか、ビーツといった珍しい野菜も育てる。最も力を入れているのが、8~10月に出荷するイチジクだ。まんのう町羽間でとれるものは「はざまいちじく」と呼ばれる。

篠原仁一朗さん(26)は、この「はざまいちじく」を守り、全国区にするために就農・起業した。羽間地区のイチジク栽培は明治初期に始まり、現在30軒ほどの農家があるという。「はざまいちじく」というブランドに育てたのが、40年以上栽培を続けてきた白川訓弘さん。篠原さんは、周囲に反対されても諦めなかった白川さんの話に感銘を受け、師と仰ぎ、栽培方法を学んでいる。

篠原さんは小学1年で野球を始め、高松商業高校、駒澤大学と進学。プロ野球選手を目指していた。だが、大学生になると「自分はプロにはなれない。努力ではカバーできないものがある」と感じるように。卒業後は四国旅客鉄道(JR四国)に入社し、社会人野球チームである「JR四国硬式野球部」で選手として活躍。「3年目で芽が出ないなら諦めよう」と、全力を注いだ。2019年8月の「都市対抗野球大会」を最後に、野球と会社を辞めた。

その年の9月に曽祖父が100歳で亡くなった。「最期までかっこよかった曽祖父のように生きたい。自分も頑張らなければと思いました」。葬儀をきっかけに、地元であるまんのう町の人たちとの近所付き合いの大切さも感じた。そんな時に出会ったのが、白川さんだった。
昨年出荷した「はざまいちじく」

昨年出荷した「はざまいちじく」

農業の担い手不足と高齢化が進む中、篠原さんの就農は歓迎されたが「無理だ」「やめておけ」という声もあった。「栽培から販売までを自分でコントロールし、売れる仕組みを作っていきたい。新しい農業の形があるのではと思っています」。時代に先駆ける農園にしたいと「Before The Times」から「Bettim」と付けた。就農・起業にあたり、前職の同僚や後輩が仲間に加わってくれることになった。

曽祖父が残してくれた畑や町内の耕作放棄地を使って、19年冬からイチジクの苗木を育て始め、20年に初収穫。産直通販サイトで販売したほか、キウイボム(高松市)が作る人気のフルーツサンド「ボムパン」にも使われた。

今年は生産も販売も拡大。収穫可能な木は150本ほど育っている。引き続き、通販サイトでの販売のほか、県内飲食店でも使われる。東京都内の販路も開拓中だ。

「まずは『はざまいちじく』を全国的なブランドにしたい。あとは珍しい野菜の栽培や、オーガニック農法、農業と福祉の連携などにも挑戦できれば。この道でプロになれたらうれしいですね」

鎌田 佳子

篠原 仁一朗|しのはら じんいちろう

略歴
1994年 まんのう町生まれ
2013年 高松商業高校 卒業
2017年 駒澤大学 卒業
     四国旅客鉄道 入社
2019年 就農
2021年 株式会社Bettim 設立

株式会社Bettim

住所
香川県仲多度郡まんのう町羽間2710‐1
事業内容
野菜や果物の生産・販売
地図
確認日
2021.08.19

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