サフランを香川の特産品に

GRプラント 代表取締役社長 有馬康高さん

Interview

2019.04.18

手に持っているのがサフランの球根。冬から春にかけて畑で養生する

手に持っているのがサフランの球根。冬から春にかけて畑で養生する

香辛料や染料、薬用などに用いられるサフランは、花のめしべを乾燥させたものだ。栽培開始から3年、GRプラントの代表取締役社長・有馬康高さん(41)は、昨年初めてサフランを販売した。高松国際ホテルの地産地消の特別ディナーに使用され「香りが良い」と好評だったという。他にも飲食店や料理教室などで使われている。
トレイに並べた球根から花が咲く

トレイに並べた球根から花が咲く

2000年に関西外国語大学を卒業した有馬さんは、アメリカで働きたいと考えていた。地元・香川の企業に就職し、米国進出に携わる予定だったが、01年の同時多発テロで撤退を余儀なくされた。アメリカにいられないのならと、ベンチャーのIT企業に転職した。しかし数年働いたのちに倒産。人材派遣会社へ転職したが、時流の変化で経営状態が芳しくなくなり「会社の都合で振り回されたくない、独立したいと考えるようになりました」

10年に香川大学大学院の地域マネジメント研究科に入学し、起業の準備を進めた。そのころ、認知症と漢方薬に関するテレビ番組を見て、薬草の栽培に興味を持った。「作ってみたいと思い、すぐに薬草園のある徳島文理大学に連絡しました」。種を譲ってもらえることになり、13年にGRプラントを設立。漢方薬の原料になるミシマサイコの栽培を始めた。

徳島文理大学が開催した講演会で、サフランも漢方薬に使われていることを知る。日本で流通しているもののほとんどは、イランやスペインなどの外国産。国内では大分県竹田市が一大産地だという。「サフランは『世界一高価なスパイス』、『赤いダイヤ』とも言われています。国産品は希少価値が高い。何より栽培方法が面白く、サフラン自体に興味を持ちました」

サフランは球根をトレイに並べて栽培する。水やりも施肥も必要ないという。11月の開花後すぐに、一つ一つ手作業でめしべを取る。めしべ収穫後の球根は、土に埋めて養生。4月になったら掘り起こし、再びトレイに並べて開花を待つ。
収穫しためしべ。乾燥させてから出荷する

収穫しためしべ。乾燥させてから出荷する

有馬さんは約千個の球根を育てているが、サフランの栽培・販売だけでは経営は成り立たない。ミシマサイコのほかにカンゾウという薬草も栽培し、組合を通じて製薬会社などに販売している。現在はネギ、ブロッコリー、ナスなどの野菜の販売が売上の多くを占める。

「周りには野菜の栽培に注力したらと言われます。でも、僕の農業は薬用作物から始まった。諦めたら終わり。サフランが香川を代表する特産品になるまで頑張りたい」
可能性を感じながらも、サフランそのものの販路を広げるのは難しいと考えている。「サフランを使ったシロップやマヨネーズ、ドレッシングなどの商品開発を考えています。香川の特産品として、いずれは海外でも販売できたら」

会社員のころから、楽しく働くことを心掛けてきた。「会社員でも自営業でも、しんどいなと思うことはたくさんある。でも経験したことがすべて自分の糧になると思っています」
サフランの花

サフランの花

鎌田 佳子

有馬 康高 | ありま やすたか

略歴
1977年 東かがわ市生まれ
1996年 三本松高校 卒業
2000年 関西外国語大学 卒業
2012年 香川大学大学院地域マネジメント研究科 修了
2013年 GRプラント 設立

株式会社GRプラント

住所
香川県東かがわ市小磯303
代表電話番号
0879-49-0892
設立
2012年
社員数
4人(パート含む)
事業内容
薬用作物・野菜の栽培・販売
地図
確認日
2019.04.10

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