
一方で、誰が観光ビジネスを担うのか(WHO)、旅行者がどうやって移動するのか(HOW)が弱みで、人材育成と交通アクセスの円滑化が急務だと考えている。今回、2010~12年に続いて、二度目の高松勤務となった。「ご縁があって、また四国に来ました。これまでの経験を生かし、地域の皆さんと一緒に課題解決に取り組んでいきたい」

日本政府観光局・北京事務所勤務の頃
ショッピングセンターで観光パンフレットを配ると、多くの人が日本を訪れたいと話した。「行ってみたいという個人的な感情の上に、観光は成り立ちます。今後も需要は伸びていくだろうと思いましたね」。この時の経験が、観光の仕事に携わる上での基礎となった。

大歩危駅活性化協議会の皆さんと
「四国ツーリズム創造機構と二人三脚で、『四国はひとつ』の理念を具体化する先導的な交通連携プロジェクトでした。販売精算など実務設計も勉強させて頂き、民間の貴重な現場経験を得ました」。この鉄道パスはJR四国を幹事として承継発展し、販売実績は年々増加している。
九州運輸局では、交通不便地域の機動性に優れたレンタカーの外国人ドライブ旅行を手掛けた。レンタカー業界とNEXCOに加え、道の駅や観光まちづくり組織、国際クレジットカード会社が協議会に参加し、「ドライブ秘湯巡り」など交通・観光の横断的推進に取り組んだ。
仕事の中で最も大切にしているのは、人に会ったり連絡をしたりというコミュニケーションの時間だ。「交通という切り口で関連する事業をつなげて、交通・観光ネットワークづくりの音頭を取るのが運輸局の仕事。交通は手段で、その先に観光消費拡大、地域活性化という目標があります」
熊本地震の発生後、観光復興キャンペーンとして九州の旅行商品を割引価格で販売する「九州ふっこう割」を統括したのが、九州運輸局での最後の仕事となった。
「瀬戸内国際芸術祭は、島観光のニーズが高いことを証明しました。フェリー&レールやレール&レンタカーなど交通ネットワーク商品を期待したい」。民間創意と公的施策の連携に向け、四国4県や交通事業者、観光まちづくり組織を訪問し意見交換を進めている。多言語時刻表や案内板など受入環境への補助や広域観光周遊ルートとの連携も提案したいと話す。
「新しいアイデアはたくさんあるので、どんどんチャレンジしていきたい」
副編集長 鎌田 佳子
榎本 通也 | えのもと みちや
- 1970年 1月 千葉県千葉市生まれ
1993年 3月 早稲田大学法学部 卒業
1993年 4月 運輸省(現 国土交通省)入省
2004年 4月 日本政府観光局(JNTO)北京事務所 次長
2007年11月 全日本空輸へ官民人事交流派遣
(ANA総合研究所主席研究員)
2010年 9月 JR四国 営業部 担当部長(観光開発)
2012年10月 国土交通省 鉄道局 JR担当室長
2014年 7月 九州運輸局 企画観光部長
2016年 6月 四国運輸局 次長
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