命と向き合う経験を将来に生かす

石田高校生産経済科

Interview

2022.01.20

牛のブラッシングも欠かせない作業の一つ。現在の体重はまだ380kgほどだが出荷時には750kgほどに成長する

牛のブラッシングも欠かせない作業の一つ。現在の体重はまだ380kgほどだが出荷時には750kgほどに成長する

石田高校には、生産経済科、園芸デザイン科、農業土木科、生活デザイン科があり、座学と実習を組み合わせた専門性の高い授業を行う。生産経済科は「食」と「農」を学ぶが、農業において「いいものを作る」だけでなく、「誰に何をどう売るか」といったマーケティングスキル、サービス、流通など経営マインドを持つ人材の育成も目指している。

東讃では唯一、畜産実習があるのも特徴だ。生産経済科の生徒らが香川県産ブランド「オリーブ牛」として出荷した4頭の黒毛和牛が2年連続でA5ランクに格付けされた。大手百貨店のお歳暮商品としても扱われるなど、高い評価を受けた。
牛舎の掃除は毎日必ず行う。害虫や害獣の侵入を防ぐため戸締りにも念を入れる

牛舎の掃除は毎日必ず行う。害虫や害獣の侵入を防ぐため戸締りにも念を入れる

同校では毎年4月に生後6カ月の黒毛和牛を4頭ずつ導入、約20カ月間肥育して出荷する。生徒は夏休みも正月も当番制で糞だしや床かえ、餌やりなどを行う。警戒心やストレスは肉質に悪影響を及ぼすので、牛との良い関係性を保ちつつ作業を進める必要がある。

「生き物の命を預かり、決められたことを自分の責任でやり遂げる経験は将来どんな仕事に就いても必ず役立つはず」と担当の今井工教諭。卒業後は6割が大学進学、農業法人、食品メーカーと、就農する生徒はほとんどいない。しかし、「夏場は牛の体重が増えず心配しました。でも結果的にA5ランクに評価されて苦労が報われた気持ちです。命と向き合った経験を基に将来は人の命を守る警察官を目指したい」(泉谷侑河さん・3年)と実習での経験で得ることは多い。

平野智也さん(3年)は、「何気なく食べていた肉に多くの人の手が関わっていたと思うと感謝しかない。進学して加工食品について学び、作った人の思いが届く商品作りの仕事がしたい」と言う。かけがえのない経験をした生徒たちは、しっかり将来を見据えている。

香川県立石田高等学校

住所
香川県さぬき市寒川町石田東甲1065番地
代表電話番号
0879・43・2530
概要
学科/全日制(339人)…農業科(生産経済科、園芸デザイン科、農業土木科)・家庭科(生活デザイン科) ※()内は2021年12月現在の生徒数
確認日
2022.01.20

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