つくり手に寄り添いながら
日本の果物の可能性を開拓

株式会社Japan Fruits 代表取締役社長 高尾 明香里さん

Interview

2024.08.01

果樹農家との直接交流を大切にする高尾さん(左)

果樹農家との直接交流を大切にする高尾さん(左)

おいしい規格外フルーツや、夏時期のイチゴなど手に入りにくいフルーツの産地直送卸売を主業とするJapan Fruits。高尾さんがこまめに足を運んで築いた各地の果樹農家との深い人間関係が、全国に広がる流通網となり、菓子店など果物を使う側が求めるさまざま条件に合わせて高品質な旬のフルーツを提案できることを強みとする。今年から社内に「カスタマーサクセス部門」を新設、客先対応に注力するとともに、サービス拡充にも意欲的だ。

顧客ニーズをダイレクトに反映する直送スタイルは、果物農家にとっても価格決定権を持たない市場流通に比べて高評価・収入増につながると好評だ。生産者が公正な報酬を得て過剰労働から解放される取り組みとして、青年版国民栄誉賞に位置づけられる「JCI JAPAN TOYP 2024」では衆議院議長奨励賞も受賞した。大学時代から果物農家と積極的に交流を深め、「いいことも悪いことも腹を割って話せる関係」をじっくり築いてきたことが、今もビジネスの根本を支えている。

1000社以上の取引先とLINEやメールで常につながり、「こういうフルーツがほしい」「こういうフルーツを提供できる」情報を随時マッチング。高い市場価値を守りつつフードロスを防ぐバランスの見極めが重要だが、取引を始める際の細かいヒアリングをデータベース化して、それぞれ届くべき層にきちんと届くよう振り分けている。

こうしたネットワークをさらに効率よくつないでいくのが、カスタマーサクセス部門。「取引先を大切にするための部署です。これまで外部に委託していた客先対応を、今後は社内でしっかりやるつもりです」。売上は増えたが事務・顧客対応に時間をとられる、といった農家の悩みを受けて、バックオフィスの代行業務もスタート。地域の枠を超えた全国レベルの栽培研修会や、つくる側と使う側が直接交流できる場をつくるなど、「卸売」の立場をフルに生かす縦横無尽の事業を展開中だ。

国内事業を拡大するかたわら、創業当初から海外を視野に入れていた高尾さんが近年注目するのは、アジア市場。クオリティや見た目が日本のフルーツと同等でも価格は数分の一というアジアに日本のフルーツを売り込むのは不利だが、「購買スタイルも規模も日本と全然違うアジアでチャレンジしたい」思いは強く、日本の技術による海外現地生産・流通システムの確立を目指している。「ブランド化するフルーツが富裕層だけの楽しみではなく、一般の人たちも手に取りやすい価格で、広く普及する環境をつくりたい。私は日本のフルーツは世界一だと思っています。世界中でそう思ってもらえるように、つくり手も食べる人もうれしい関係が築けるように、私にできることを考えていくつもりです」。高尾さんの挑戦は、始まったばかりだ。
大学時代は「さぬき讃フルーツ大使」として活躍

大学時代は「さぬき讃フルーツ大使」として活躍

戸塚 愛野

高尾 明香里 | たかお あかり

略歴
1994年 坂出市生まれ
2013年 坂出高校卒業
2016年 文部科学省「トビタテ留学Japan」で海外インターン
2018年 香川大学教育学部卒業
2021年 株式会社Japan Fruits創業

株式会社Japan Fruits

住所
香川県坂出市久米町2丁目824-1
代表電話番号
050-3161-3902
地図
URL
https://wholesale.japanfruits-channel.jp/
確認日
2023.04.06

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