つくる人も食べる人も幸せにしたい

Japan Fruits 代表取締役 高尾 明香里さん

Interview

2023.04.06

香川県のフルーツをPRする「さぬき讃フルーツ大使」として活動していた大学時代。活動の一環で果樹農家を訪れ、今まで経験したことがない本物のフルーツのおいしさに驚いた。同時に、赤字やリスクに悩むつくり手の生の声にも触れた。「こんなにすばらしい果物を手間暇かけてつくっているのだから、もっと応援したい!」と一念発起し、東南アジア向けの物流開拓に着目。大学を1年休学し、国の留学プログラムを利用して、マレーシアとシンガポールで日本の果物を輸入する企業で奮闘した。「積極的に考えて行動する必要があり、自分の意見をなかなか出せなかった私を変えてくれた留学生活になりました」と振り返る。

県内の果樹園を手伝いながら現場の知見を深め、SNSを通じた小売などビジネス形態の試行錯誤を経て、2021年に「株式会社JapanFruits」を立ち上げた。全国に広がる農園ネットワークを生かし、国産イチゴの通年安定供給やおいしい規格外フルーツの産地直送卸売を主力事業としている。

強みは、全ての注文をシステム上で受け、産地直送で鮮度の高いフルーツを届ける仕組み。輸送時間を圧縮できる直送だからこそ、ベストな状態を待って収穫したものを届けられる。暑さで傷みやすく、白くて硬い状態での流通が一般的な夏~秋のイチゴも、赤くて甘い朝採れものの安定供給を実現し、顧客に喜ばれている。

つくり手にとっては、価格決定権を持たない市場流通に比べて、世間のニーズをダイレクトに反映したフルーツを育て、それを高く評価される環境が整う。市場を通さないため中間マージンを削減でき、手取りも増える。菓子店など使う側にとっては、求める条件の素材を安定して確保できるとともに、高品質・多品種の旬のフルーツを発注管理できるのがメリットだ。

扱う商品は、必ず高尾さんが園地に足を運び、品質だけでなく栽培方法や経営方針、つくり手自身の個性なども含めてセレクトする。「甘さ、みずみずしさ、酸味など、顧客が何を重視するかによって『おいしい果物』の基準は変わります。顧客が求める条件にぴったり合うものを提案するためには、つくり手・顧客・私のコミュニケーションと信頼関係が不可欠。答えはすべて現場にあると思っているんです」。

熱い思いに共感して会社運営を支えてくれるメンバーが増え、高尾さん自身は営業に徹して全国を飛び回る日々。紹介や飛び込みなどで果敢にネットワークを広げ、現在取引のある農園は約300、卸先は600社に上る。
栽培の現場で生産者と対話

栽培の現場で生産者と対話

今年から小売も再開する見通しで、将来的には生産者同士で情報を共有できるプラットフォームの構築や、日本の技術を生かした海外での現地栽培などにも興味があるという。「やりたいことがありすぎて、やらないことを決めるのが大変」と苦笑しつつも、「日本の果物は世界一だと、変わらぬ自信を持っています。独自性の高い流通システムを整えることで、つくる人も食べる人も幸せになってほしい」と意気込んでいる。

戸塚 愛野

高尾 明香里 | たかお あかり

略歴
1994年 坂出市生まれ
2013年 坂出高校卒業
2016年 文部科学省「トビタテ留学Japan」で海外インターン
2018年 香川大学教育学部卒業
2021年 株式会社Japan Fruits創業

株式会社Japan Fruits

住所
香川県坂出市久米町2丁目824-1
代表電話番号
050-3161-3902
地図
URL
https://wholesale.japanfruits-channel.jp/
確認日
2023.04.06

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