客室から地域へ、広がる活躍
二刀流でキャリアを磨く!

全日本空輸 客室乗務員 長坂 春菜さん・舘 咲奈さん

Interview

2025.03.06

外出や旅行が世界的に激減したコロナ禍中は、飛行機の航行便数も大幅に減った時期だった。ANAでも客室乗務員(CA)の兼業や地方都市からの通勤を可とするなど、多様な働き方を模索。CAのスキルと経験を生かせる全国の自治体・企業と積極的なマッチングを図った結果、各地域で兼業を経験したスタッフの大きな成長につながった。航空需要が復調しつつある現在はむしろ人手が足りないほどだが、CAの兼業を通じて育まれる地域との深い信頼関係こそがANAの財産であるという考えの下、客室乗務との両立を図りつつ今後も継続する方針だ。

長坂さんと舘さんは、社内公募に手を上げて2024年に香川へ移り住んだ。「ずっと客室乗務一筋で、新しい挑戦をしたかった」という長坂さんは小豆島国際ホテルの接客やSNS運用、「地方創生に興味があり、趣味の農業のためによく訪れる香川を『いいところだな』と感じていた」という舘さんは三豊市政策部産業政策課で観光PRや旅行コンテンツの作成などにかかわっている。CAとしての乗務は国際線を中心に原則4勤8休で、8日間の休みを利用して兼業先での勤務と休日を調整する。この勤務形態で兼業しているCAは現在20人程度、受け入れ側の柔軟な姿勢も取り組みを支える。

ホテルで接客を担当する長坂さんは、「接遇はCAの仕事にも通じますが、ホテルの業務はより地域密着型で、地元のさまざまな知識が問われます。移住者でもある私自身、島の美しさや魅力には驚かされることばかり。外からの新鮮な視点で情報を発信できるのは私の強みになるのでは」と語り、語学面でのフォローや実務改善などCAのスキルも生かしつつ、ホテルだけでなく島全体の観光促進に意欲を見せる。

「地元の皆さんにとっては当たり前すぎて観光資源だと思われていないものがたくさんあります」という舘さんも、コミュニティバスなどを利用して市内各地に足を運び、地域の人々との会話をヒントに「コアでディープな」三豊の魅力発掘にいそしむ。総務省の「地域活性化企業人」としての赴任でもあるため任期は3年と限られるが、観光マニュアル作成やインバウンド誘致に向けた勉強会の実施など、精力的に活動している。

兼業を通じてANAという企業の枠にとらわれない業務を経験し、「客室乗務だけでは見えづらかった『旅行者の動き』と、その中で飛行機が果たす役割を意識するようになった」(長坂さん)、「マニュアルだけではない提案型の発想と行動力が身につき、会社全体を見る視点が生まれた」(舘さん)と、それぞれ視野の広がりを実感、客室乗務にもいい影響が出ているという二人。兼業を新しいことに挑戦するチャンスの一つととらえ、同じように兼業スタイルで活躍する全国のCAたちとも情報を共有し、互いに刺激し合っている。

CAとして磨いたスキルを地方都市で生かす経験が、自身の成長と、客室乗務の質のさらなる向上につながる好循環。客室乗務と地方勤務の「二刀流」で自分の可能性を広げるCAたちの挑戦は、まだまだ続く。
ホテルのフロントに立つ長坂さん(左)と地域の人と交流を深める舘さん

ホテルのフロントに立つ長坂さん(左)と地域の人と交流を深める舘さん

戸塚 愛野

全日本空輸株式会社

住所
東京都港区東新橋汐留1-5-2 汐留シティセンター
設立
2012年(平成24年)4月2日
社員数
12,854名(2024年3月31日現在)
事業内容
定期航空運送事業
不定期航空運送事業
航空機使用事業
その他附帯事業
地図
URL
https://www.ana.co.jp/ja/jp/
確認日
2025.03.06

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