「新設法人」745社、前年プラス5.3%
~2023年「香川県新設法人動向」調査~

東京商工リサーチ

Research

2024.09.05

新設増加の一方、淘汰も進む

2023年に香川県内で新しく設立された法人(以下、新設法人)は745社(前年比5.3%増)で、2008年に統計を開始以降、15年の746社に次ぐ多さだった。20年からのコロナ禍で経済活動が大きく制限されたが、23年5月に新型コロナが5類相当に移行し、起業マインドを刺激した。また、政府や金融機関、支援機関などが推進する起業支援の取り組みも新設法人数の底上げに寄与しているようだ。

一方、休廃業・解散は381社(同353社)、企業倒産は63社(同27社)で、ともに増加した。コロナ禍関連の資金繰り支援策が段階的に縮小され、自立(自律)・自走できない企業の淘汰が進むなか新設法人数は増加。この新しい企業が中堅、大企業へ成長し、地域の中核企業、雇用の受け皿として、地域経済を支える仕組みの構築と支援が急務になっている。

【新設法人年次推移】

※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象約400万社)から、2023年(1-12月)に全国で新しく設立された全法人を抽出し、分析した。

※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象約400万社)から、2023年(1-12月)に全国で新しく設立された全法人を抽出し、分析した。

産業、資本金、法人格で見る新設

産業別は、10産業のうち、農・林・漁・鉱業、金融・保険業、サービス業他を除く7産業で増加した。増加率の最大は、製造業の27.9%(43社→55社)で、前年の減少から一転して増加。運輸業が26.6%増で第2位。3位は情報通信業の23.5%増。一方、減少率の最大は金融・保険業の26.6%(15社→11社)だった。農・林・漁・鉱業が22.2%減、サービス業の1.8%減と続いた。

資本金別では、1百万円以上5百万円未満が最も多く371社あった。1百円未満が227社で続いた。一方、5千万円以上は1社に留まり、1億円以上はなかった。

法人格別では、株式会社が最も多く482社で、構成比は64.7%に及んだ。次いで多かったのは合同会社の211社で、構成比は28.3%だった。
政府は、「日本再興戦略」(13年6月閣議決定)で、開廃業率を欧米並みの10%台に引き上げる目標を掲げた。コロナ禍を経た23年8月、中小企業庁と総務省が連名で公表した創業支援に関する文書で、改めて「10%以上」の数値目標に言及している。

中小企業庁によると、21年度の開業率は4.4%で目標数値には程遠い。政府の開業率は「雇用保険事業年報」が基準で今回の調査と基礎数値が異なるため単純比較はできないが、今回の調査で23年の香川県新設法人の増加率は5.3%にとどまっており、達成への道のりは容易ではない。

創業支援に向けた取り組みは、数の面では一応の成果をみせている。さらなる目標達成に向けて、地域や産業特性も加味したきめ細やかなプランニング、そして実効性ある支援が求められる。

東京商工リサーチ四国地区本部長兼高松支社長 波田 博

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