地域での学びを地域に活かす
「第6回香川県高校生探究発表会」開催

香川県教育委員会

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2025.05.15

高校の授業に導入された「総合的な探究の時間」では、県内各校で特色ある取り組みが進められてきた。その成果を発表する「第6回香川県高校生探究発表会」が3月に開催された。その様子とともに、香川県のこれまでの取り組みも紹介する。

「香川型教育メソッド」の特徴とは

高校の授業に「総合的な探究の時間」が導入されたのは2022年度から。それまでの「総合的な学習の時間」に対し、生徒自ら課題を発見するといった主体性がより重視されるようになった。

香川県教育委員会では2020年度から学校ごとの特色を活かした「魅力あふれる県立高校推進事業」を進めている。そのビジョンに基づいた教育現場での具体的な取り組み方法を「香川型教育メソッド」と名付けて、郷土への理解や郷土愛、イノベーション創出力、グローバル社会に対応する力などの育成を目指して取り組んできた。2021年度・22年度は先進的に取り組むリーディングスクールを指定し実践研究を実施。23年度はコネクティングスクールを指定し教育実践を深化させてき。それらの取り組みの核となるのが、総合的な探究の時間に行われる「探究学習」である。

普通科や総合学科では「総合的な探究の時間」として、専門学科では「課題研究」として行われてきた探究学習。ただ、実施にあたって現場では「教師が課題を提示する教科の授業と違い、どうすれば生徒自ら問を立てて学習を深められるか」「ネットで調べて終わりにならないようにするには」「地域での実践的な学びを進めたいが、地元企業などとのつながりがない」といった悩みも少なくない。

そういった中、毎年3月に開催されている「香川県高校生探究発表会」は、探究学習の進め方の事例として自校の参考にしてもらう、指導方法を共有しながら深めていくといった目的もあると高校教育課・福家浩一郎さんは話す。

学びの成果を発表し、さらに成長する探究発表会

2024年度の学習成果を発表する「第6回香川県高校生探究発表会」は、3月16日に行われた。開会に先立って、香川県教育委員会・淀谷圭三郎教育長が挨拶。「地域、日常から課題を見出し1年間取り組んできた中で、困難を抱える人、地域に力を尽くす人の存在に気づき、ともに学ぶ仲間の新たな面を発見してきたのではないか。社会は多くの人々の努力と工夫で成り立っていることを知り、社会の一員として成長、活躍してくれることを願っています」と呼びかけた。

今回は、県内の公立・私立高校22校が、46のテーマで発表。テーマによって「郷土」「社会課題」「科学技術」「食」の4分野に分かれて高校生が成果を披露した。その内容は、地元企業と連携した商品開発、空き家問題の解決を目指すアプリ開発、観光振興の提案、防災、昆虫食など多彩。坂出のB級グルメ「ぴっぴ飯」を防災時の備蓄品にもなる缶詰にして商品化を目指す活動をしてきた高松商業高校英語実務科の田中希美さん(2年・発表時)は「地元の企業とコラボする中で、みなさんの仕事への熱意や技術の高さを知り、香川の企業ってこんなにすごいんだと感じました。商品化することは決まっているので、今日受けたアドバイスや質問を参考に商品の発信方法やデザインなどを真剣に考えたい」と話した。

全発表終了後には、学校の枠を超えたグループで意見交換の時間も設けられ、テーマ設定の理由や活動の苦労などについて話し合い、実り多い時間を過ごした。

2025年度から新たな取り組みも

香川県教育委員会では、これまでの取り組みをさらに深めるため、2025年度から新たな事業を始める。まず「香川型探究学習推進事業」では、学内だけでの学びではなく実社会と関わる中で自ら課題を見つけ、魅力発信に取り組む地域の現地調査や、地元企業を訪問するなど活動を深める。今年度は坂出商業高校が指定校に決まった。

もう一つは国が進める「郷土に誇りを持つ教育の推進事業」。探究活動を通して郷土への理解や郷土愛の醸成につながる先進的な取り組みを対象として、外部講師の招へいやフィールドワークなどの活動を支援する。指定校に決まった津田高校と琴平高校ではこれから活動が進められていく。

「学校を出て、実際に見て、話して、体験するからこそ分かることがきっとある。地域の課題を自分ごととして考えるきっかけになれば。また、学んだことを郷土に活かしてほしい。そのためには、郷土について知ることが大切」と前出の福家さんは話す。

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