誰もが光を浴びて 活躍できる場所

サニーサイド 代表取締役社長 多田 周平さん

Interview

2018.04.19

「障害者、ニート、引きこもり、高齢者・・・そんなカテゴリーに関係なく、みんなが力を合わせて働ける企業の在り方を示したい。本来、社会ってそういうものでしょ?」。多田周平さん(40)は「個性が共生し、調和が発展を生む」という理念を掲げ、2011年にサニーサイドを設立。現在約160人のスタッフを抱え、「ホテルレオマの森」をはじめとする宿泊施設や商業施設の清掃を請け負う。

スタッフのうち知的・精神・身体など障害のある人が約30人、元ニート・引きこもりが約40人。採用に当たって重視するのは、働く意志だ。「いろんな人の働きたいという気持ちに応える会社でありたい。その人ができること、長所に焦点を当てて伸ばしていく」

多田さんは大学卒業後の2000年、清掃会社に就職。面倒なことは避けたい、楽なことをしたいという若者だったが、上司との出会いで人生が変わった。「『面白い奴だ、10年一緒に仕事をしよう』と言って採用してくれました。初めて人から認められた嬉しい瞬間でした」

しかし、その上司は白血病を患っていて多田さんの入社後2年で亡くなった。亡くなる前、病室にパソコンを持ち込んで仕事をしていたため「こんな時に仕事なんて」と言うと、上司は「職を失うのは、社会の中で認められないことに等しい」と答えた。文字通り、命懸けで仕事に打ち込む姿に心打たれた。人にとって仕事とは、社会にとって企業とは何だと考えるようになった。「僕にとって仕事は、自分の存在意義を証明するもの。少しでも社会の役に立ったと思いながら、人生を終えたいんです」

会社の設立当初から、障害の有無や経歴に関係なく、スタッフを採用してきた。「人にとって会社は一つの居場所。障害のある子どもは増えていると言われていますが、受け入れる準備ができている企業は少ない。誰もが働きやすい仕組みをつくれば、人手不足の問題も解決できる、次代の雇用モデルになると考えました」。働きたい人たちがいる一方で、企業では人手不足というミスマッチも感じていた。

何をすればスタッフに給料が払えるのか、また給料分の仕事をしてもらうにはどうすればいいのか、壁にぶつかりながらも改善してきた。例えばホテルの清掃は、作業を細かく分担してチームで完成させる。シーツを取り換える人、掃除機をかける人、お風呂を洗う人・・・7人1チームで約30部屋を掃除する。毎日繰り返すことで仕事が身に付く。障害の有無や経歴は仕事内容と給料に関係なく、誰もが同じように仕事を覚え、できるようになればその分昇給のチャンスもある。

サニーサイドの2018年2月期の売上は約2億6千万円、経常利益は3,400万円で利益率は13%。「同業他社では2%だと聞きます。うちは仕事を細分化したことで、生産性が上がっているんだと思います。障害者雇用の助成金をたくさんもらっているのではと言われますが、年間100万円くらいです」

社会の中でどうあるべきかを強く意識している多田さん。企業として社会から必要とされること、結果を残すことは重視しているが、売上や企業規模などの数字は追いすぎない。「スタッフ一人一人が力を発揮できれば、おのずと利益も上がります。亡くなったかつての上司が、僕に居場所と『お前はできる』という誇りを与えてくれた。僕がもらった大切なものを、他の誰かにも渡したい」

鎌田佳子

多田 周平 | ただ しゅうへい

1977年 琴平町生まれ
1996年 琴平高校 卒業
2000年 四国学院大学 卒業
    清掃会社を経て
2011年 株式会社サニーサイド 設立

株式会社サニーサイド

住所
丸亀市綾歌町栗熊西40-1
TEL.0877・86・5613
事業内容
ホテル・ショッピングセンターなどの清掃、
お茶の栽培、うどん店・ゲストハウスの運営
売上
2億6千万円(2018年2月期)
地図
URL
http://sunnyside2011.com/
確認日
2018.04.19

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ