
企業の社会的責任とは

現在、あなぶきパートナーには知的障がい者7人、身体障がい者1人が働いている。
「要領とか、適当といった事を覚えてしまった私たちに、仕事に取り組む原点の姿勢を思い出させてくれるんです」と、あなぶきパートナー代表取締役社長の冨岡徹也(54)さんは話す。
スタートは、5年前あなぶき興産が大阪証券取引所市場第二部に上場したのをきっかけにグループで取り組んだCSR「Corporate Social Responsibility」=「企業の社会的責任」だった。
CSRは2003年頃から注目され始めたもので、ここで言う「社会的責任」とは、株主など投資家に対して、また企業倫理や法令順守(コンプライアンス)にとどまらず、その事業活動の中で消費者や取引先、さらには地域社会や従業員に対しても公正で責任ある行動を取るべきだという考え方だ。
これに基づいて社内で行った意識調査の結果、女性や高齢者、そして障がい者の人材活用が社会的責任の中で最も重要だと考える社員が14.5%と4番目に多く、90%以上が「機会があれば社会貢献活動をしてみたい」と答えた。
一方で07年11月時点での障がい者の雇用率は、あなぶき興産で0%、グループ全体でも0.8%でしかなかった。こうした背景の中であなぶきパートナーは08年5月に誕生した。
人としての一生懸命さを学ぶ
「漢字はその意味を連想させます。『障害者』の『害』という字はネガティブなイメージを持ってしまうので、社内では『がい』とひらがなを使うようにしています」と冨岡さんは話す。
この通り、とにかく職場でのメンバーの表情は明るい。毎日午前中に清掃をし、午後から自分たちの事務作業を行う。事務所に戻ってきたメンバーにサポートスタッフや残りのメンバーが声をかける。そして今日あったことやこの後の仕事についてワイワイガヤガヤ、笑顔が絶えない。また、事務所には仕事の発注元であるグループの社員も普通に出入りする。自然とコミュニケーションが行われる。あなぶきパートナーのもう一つの目的である。
あなぶき興産では今年4月に入社した新入社員のうち10人があなぶきパートナーで2週間ずつの職場研修をした。メンバーと一緒に仕事をして、「仕事」に取り組む姿勢や「仕事とは」という原点を知ってもらおうという社員教育にも一役買っているのだ。
民間企業としての宿命と将来像

しかし、これはあくまで法律上の特例であって社会的には普通の会社となんら変わりがない。つまり、福祉作業所などとは違い、民間企業として「利益」を求め続けなければならないということだ。
現在、あなぶきパートナーの売上は、グループ会社11社からの仕事だけだ。
「将来的には、自主独立できるような、どんな波があっても続いていけるような会社の体質を作ること、これが一番の社会的使命じゃないですかね」と冨岡さんは語った。このため、「あなぶきパートナー」では漫然と仕事をするのではなく、「きのうよりも一枚多く封筒を仕上げよう」など効率向上に努めている。
設立から約1年半、冨岡さんは「当社で何ができるか模索しながらやってます」といいながらも、「あなぶきパートナー」の将来をしっかり見据えている。
冨岡 徹也
あなぶきパートナー株式会社
- 住所
- 香川県高松市鍛冶屋町6-11 AHビル3F
- 代表電話番号
- 087-825-0560
- 設立
- 2008年
- 社員数
- 8人
- 事業内容
- 障がい者の自立支援
(主な業務:(1)文書作成、発送、その他の文書事務に関する各種作業の引受け(2)建物、建物設備の清掃業務及び、ごみ収集作業(3)印刷業) - 沿革
- 2008年 設立
2009年 厚生労働大臣より特例子会社の認定 - 資本金
- 1000万円
- 地図
- URL
- http://www.anabuki.ne.jp/anabuki-partner/
- 確認日
- 2009.12.17
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