立秋を過ぎてからの 秋の深まり

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸

column

2018.08.16

ナスそうめん

ナスそうめん

今年は8月7日が立秋です。立秋を迎えたのちの、8月中の七十二候には「涼風至(すずかぜいたる)」、「寒蝉鳴(ひぐらしなく)」、「天地始粛(てんちはじめてさむし)」と、秋を表現する言葉が並び、暦を念頭に置きながら日々の季節の移り変わりに気を付けてみると、実は、じわじわと秋が深まる様子を感じられます。

この暑い8月にも店頭をにぎわす野菜として「ナス」があります。ナスは、長期間収穫でき、讃岐の夏に欠かせない食材です。このナスを使った讃岐を代表する郷土料理が「ナスそうめん」です。炒めたナスを煮込んだ甘辛い出汁を、茹でたそうめんにかけていただく料理です。いたってシンプルな料理なのですが、この食材でここまで深い味わいが出せるのかと驚かされます(レシピ参照)。

ナスそうめんには、茹でたそうめんではなく乾麺を出汁に入れて煮込む、もう一つのレシピがあります(2016年8月18日号に掲載)。同じ食材を使いながらも、麺を茹でる手順を変えることで、全く別の料理になります。前者は甘味の効いた汁物のような料理、後者は塩味の効いた煮込み料理という印象でしょうか。いずれの調理方法にしても、今年のような暑い夏にマッチした料理で、「出来だち」の熱々の状態でも、冷蔵庫で冷やしてもおいしくいただくことができます。

実は、今年の7月ごろネット上でナスそうめんが話題になっていました。全国の人が意見を交わすことで、香川県だけでなく、石川県、富山県、広島県にも存在すること、具材やトッピング(ネギ、トウガラシ、ショウガ)を変えることで違った味わいの料理となること、幅広い年齢層に愛されているレシピであることなどが明らかになりました。現代まで変わらず食べ続けられている郷土料理は、まだまだ奥が深く、可能性を秘めた料理であることを感じさせられました。

【豆知識】ナスそうめん

ナスそうめんの食材

ナスそうめんの食材

材料(4人分)
ナス     中2本
そうめん   100g
油揚げ    1枚
だし汁(いりこ)700cc
薄口しょうゆ 50cc
砂糖     30g
しょうが汁  1片
油、ごま油  少々

作り方
(1)ナスは縦8等分に切り、斜めに切れ目を入れて水につける。油揚げは、8等分に切る。
(2)厚手の鍋に油を入れてよく熱し、水気を切ったナスを加えて軽く炒める。
(3)(2)に油揚げ、だし汁、しょうゆ、砂糖を加える。
(4)煮えてきたら、茹でたそうめんを入れて、ごま油としょうが汁を加える。

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

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