季節の移ろいと讃岐の食

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸

column

2018.04.19

市場に出荷されたタケノコ

市場に出荷されたタケノコ

食文化は、地域の食材が基礎となっているため、季節の移り変わりと密接に関係しています。ひな祭りや端午の節句といった年中行事だけでなく、1年を24に分けた二十四節気、さらに約5日ごとに3分割した七十二候など、古くから使われている季節を表す言葉や歳時記を念頭に置きながら生活をすると、香川県の食は、これら季節を表す言葉と密接に関わっていることに気が付きます。そこで、1年をかけて、讃岐の季節と食材や食文化の関わりに着目し、讃岐の食文化の魅力を探ろうと考えています。

さて、4月ほど風景が大きく変わる季節はありません。「山笑う」と表現されるように、春になり植物は一気に芽吹き始めます。特に、春分(3月21日ごろ)から、立夏(5月5日ごろ)までの1カ月半の間に、野山の風景は、千代紙をめくるが如く、冬から、春、そして夏へと、目まぐるしく変化します。植物は、昼の長さや暖かさを感じ一斉に芽吹きます。この、植物の芽をいただくのが、タケノコや、アスパラガス、ワラビなどの春の野菜です。

この季節、山菜狩りやタケノコ掘りと、野山の春を実感できるイベントが開催されます。市場においても、4月に入り地場のタケノコが大量に出荷をされ始め、4月15日ごろからは瀬戸内海島しょ部のエンドウマメが、そして、5月に差し掛かるとソラマメや新玉ねぎなど、春から初夏の野菜が段階的に増え、店頭は春の活気であふれかえります。しかし、植物の芽吹きは、1年のうちで一瞬の出来事。この期間にしか味わうことのできない期間限定の味を、食べ逃さないようにお気を付けください。

【豆知識】季節の旬と味覚の旬

4月の店頭に並ぶいろいろなトマト

4月の店頭に並ぶいろいろなトマト

青果物には季節の旬とは別に、味覚の旬があります。ハウス栽培により本来の時期からずらして栽培することにより、通常の露地栽培では味わうことのできない味覚が発現するものがあります。冬場のイチゴ、夏のハウスミカン、初夏のハウスモモなどがまさにそれに当たります。

4月はトマトがおいしくなる季節。各産地の高糖度系のトマトが店頭をにぎわします。

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

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