『ハッとしてグッときてパッとめざめる』

四国なんでも88箇所 巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

column

2018.04.05

世界的な同質化競争の時代、田舎こそ生き残るために他に類を見ないユニークな発想力が必要です。その昔、さるお上が四国4県の酒メーカーに「各県、新発想の日本酒を考えてみては」とお触れを出しました。


この話、高知県の酒蔵有志が宇宙滞在をした酒酵母で醸した『宇宙酒』を造ってみたのが発端です。思惑通り話題となり某全国TVが地元発表会に生放送取材を敢行。「世界初の快挙」と大賑わいの現地に対して、東京のスタジオからメインキャスターが「ところで宇宙空間に数日置いた酵母から造ったお酒が、どういう理論でどんな味になるんですか?」と突然まともな質問。オンリーワンだけを目標に突っ走ってきた彼ら、想定外の事態にしばし沈黙の後「あっ、そうそう、飲めば宇宙遊泳しとるようなふわふわした気分に!」。そこに無残な追い打ち質問「それは単に酔っぱらっているだけなんでは?」(笑)。連中の発想は『思いついたらとにかく走る』。

対する徳島県。過去のヒット『すだち酒』の2匹目の何とかをと、『番茶酒』『蜂蜜酒』『山桃酒』、挙句の果てには『わかめ酒』と、地元特産品を片っ端から製品化したのは良いが収拾つかず。『同じ阿呆なら踊らにゃ損々・・・で、調子に乗って始末にもめる』。どこかの市の盆踊りとおんなじです(笑)。香川県は議論を重ねてやっぱり『うどん酒』。それも「透明な一升瓶に詰めた日本酒の中にうどんが一玉沈んでいる」という強烈なインパクト(笑)。でも「おもしろいけど、買うのはちょっと・・・」で『熟慮の末に、あまり役に立たん』。愛媛県は普通に『ミカン酒』を。今では特産品の一つに成長、『地味に隠れて一番モトをとる』商売人です。

これらばらばらの発想方向、みんなで仲良くまとまろうとすれば、忖度しあって「4県特製酒詰め合わせセット」で落ち着くのが関の山。しかし競いながらもとことん話し合えば、常識を根底から覆すお酒が生まれるかも・・・。「わかめうどん出汁にみかんを絞った宇宙食風味のお酒」とか?(笑)。熱血漫画では競い合ったライバル同士はチームを結成してより強大な敵と戦うのがお約束。4県がお互いを、隣同士で逃げられない宿命のライバルと認めて磨き合い、力をあわせて世界と戦わねばならんようになる時も近いですよね。

四国なんでも88箇所 巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

略歴
1960年4月5日 高松市生まれ
1979年 高松高校 卒業
1984年 早稲田大学政治経済学部政治学科 卒業
    株式会社西武百貨店 入社
1986年 株式会社久本酒店 入社
1992年 代表取締役社長 就任
写真
四国なんでも88箇所 巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ