四国八十八景

元・四国地方整備局長 三浦 真紀

column

2015.05.21

世界で一番観光客が多い国は何処か、ご存じだろうか。フランスである。フランスは、年間8,500万人もの人が国外から訪れる。フランスの人口は6,300万人だから、それをも大きく上回る。日本を訪れる海外の観光客は1,341万人(2014年)、国は、それを2020年東京オリンピック・パラリンピックまでに2,000万人にしようとしている。

フランスの魅力は美しさにある。その美しさは巧みに造られている。日本と比較して一番わかりやすいのは電線である。パリは全ての電線が地中化されている。日本では、まだ、ほとんどが架空のままになっている。ただ、日本でも徐々にではあるが地中化されてきている。フランスと日本の違いはもっと他にもある。見る場所もその一つである。フランスは、見る場所を意図的に造っている。

たとえばエッフェル塔、パリの最も有名な観光名所であるが、これを眺める定番の場所シャイヨー宮は、エッフェル塔を見るために造られたと言っていい。翻って日本はどうか。東京タワーやスカイツリーを眺める場所が造られたと言う話は聞いたことがない。いい景観とは、それを眺めるいい場所がないと成り立たないのである。

今、四国では、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、新しい観光名所を造る「四国八十八景」というプロジェクトを立ち上げようとしている。四国の素晴らしさを実感してもらえるように、四国が誇る風景や街並みなどを「四国八十八景」として選定し、それを広く発信してより多くの人に四国を訪れてもらえればと思う。

ポイントは見る場所にある。見る場所は、座ってゆっくりくつろげるようになっているのが望ましい。コーヒーやビールが飲めて、軽い食事なんかができると、なお良い。見る場所には、お金が落ちるような工夫が必要である。

今年の秋には、広く公募することにしている。ここぞと思う方は、是非応募していただきたい。選定は専門家にお願いすることにしている。もちろん有料施設であっても構わない。四国八十八景の取り組みを契機に、四国の新しい観光資源が発掘されることを期待したい。

最後に、私事で恐縮ながら、5月16日に退職しました。四国遍路に代表される伝統文化、そして瀬戸内の豊かな自然、約2年の香川ライフは実に楽しいものでした。いつまでも、癒やしの国「いやしこく」であることを願っています。この間にお世話になった多くの方々にこの場を借りて心からお礼申し上げます。

元・四国地方整備局長 三浦 真紀

略歴
1958年3月 北海道生まれ
1981年3月 北海道大学工学部土木工学科 卒業
1981年4月 建設省採用
1997年7月 建設省東北地方建設局郡山国道工事事務所長
2000年4月 (財)国土開発技術研究センター研究第二部長
2002年2月 国土交通省道路局地方道・環境課道路交通安全
      企画官
2005年4月 茨城県土木部長
2007年8月 国土交通省東北地方整備局道路部長
2011年1月 国土交通省道路局国道・防災課長
2013年8月 国土交通省四国地方整備局長
写真
元・四国地方整備局長 三浦 真紀

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ