途上の今を知る

株式会社菱屋 代表取締役社長 植村 暁美

column

2017.05.04

3月末、カンボジアに行ってきた。6歳から20歳までの貧しい子どもたちを対象に、学校と職業訓練を運営しているフランスのNGOのチャリティーイベントに参加するためだ。リトルムーンインターナショナル株式会社の文美月さんに誘って頂き、少しだけだが靴を持っていき寄付できた。

カンボジアは平均年齢が約24歳。1970年代後半、ポルポトにより人口約800万人のうち、300万人ほどが殺された歴史がある。大虐殺が終わる頃には、国民の80%以上が14歳以下ともいわれ、5人に4人が子どもだった。

そんな時代から、内戦も続き、約40年経った今。首都プノンペンは高級車が走り、おしゃれなお店も多く、活気があった。まちの中心には日本のショッピングモールがあり、憩いの場になっていた。暮らすには不自由のないところだと思った。

少し郊外に進むと、住宅地、リゾート地が建設中、インフラも整備中というまさに発展途上中。さらに田舎に進み、今回は自給自足も体験した。竹や木で組まれた高床式の家で魚や野菜を採り、雨水で米を炊き、放し飼いの鶏も夕食に。町とは全然違う世界。村は皆家族のようだった。

私の大学時代の友人にも会えた。日本への留学を経験した彼は、母国カンボジアで政治・経済を動かす重要な地位にいた。教育をしっかり受けた人は、国の将来を見据えて動ける。発展途上国にとってどれだけ教育が大事か実感した。

だが、カンボジアの労働人口のうち80%が農民で、自給自足の生活が続く中、中学への進学率は十数パーセント(2011年外務省発表)。参加させて頂いたNGOの方が言っていた。「今は教育する場所を作って支援しているが、将来的にはカンボジア政府がその教育環境を作ることが大事だ」と。

カンボジアにある工場は、外国への輸出がほとんどで、国内に出回っている物はタイやマレーシアなどからの輸入物に頼っている。近隣諸国への出稼ぎも多い。国内での雇用が増えないと、国内の消費も増えない、政治も経済も安定しないという悪循環。カンボジア国民の貧富の差を感じた上に、東南アジア諸国の貧富の差を感じた。

今回、カンボジアの歴史と今、光と闇を少しだけ見ることができた。時間はかかるかもしれないが、これから発展することは間違いないだろう。20年後どうなっているかを想像するだけで、わくわくしてくる。また行きたいと思える旅だった。

株式会社菱屋

靴、小物、アパレル商品の企画・製造・販売を行う。
インターネットショップ「アウトレットシューズ」を運営。

株式会社菱屋 代表取締役社長 植村 暁美

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株式会社菱屋 代表取締役社長 植村 暁美

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