中央卸売市場の働き ~卸売業者と仲卸業者~

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸

column

2017.05.18

高松市中央卸売市場のせりの様子

高松市中央卸売市場のせりの様子

卸売市場について考える際、卸売市場という施設の役割と、その中で営業をしている事業者(卸売市場や仲卸業者)の働き(市場機能)に分けて考えなくてはなりません。今回は、市場の働きについて解説したいと思います。

市場には大きく(1)荷物を集め(集荷)(2)価格決定し(3)荷物を分ける(分荷)という3つの大きな機能があります。

そもそも、卸売市場の働きの大きな目的は、鮮度の低下が著しい生鮮食料品を生産者から生活者へと素早く効率よく届けることにあります。そのためにも、交通量の少ない夜から早朝にかけて品物が卸売市場に届き、気温も低い早朝にせり等で品物の取り引きがされ、店舗の開店や繁忙時間に間に合うように品物が店頭まで届けられます。

でも、実はそれだけではありません。卸売市場の大きな働きは、生産者と生活者のニーズのギャップを調整することにあります。香川県が全国4位の生産量を誇るブロッコリーを例にとって考えてみましょう。

生産現場では1反(1,000m²)の土地に約5,000株のブロッコリーが植え付けられます。植え付けられたブロッコリーは収穫期を迎えると、1日何百株と収穫され市場に出荷されていきます。一方、私たち生活者は、いくらブロッコリー好きの方でも、1週間に数株程度しか購入しないでしょうし、ブロッコリーだけで食卓を構成するわけではなく、レタスやトマトなど、多様な品目を望みます。価格についても、生産者は少しでも高く売りたいと考える一方で、買い手は少しでも安い方が良いと考えます。

この量・金額ともに相反するニーズを調整するのが卸売市場の大きな働きです。市民生活に必要な多種多様な生鮮食料品を毎日大量に市場に集め、その生鮮食料品を必要としている事業者に必要な量を適正な価格で販売し、各店舗が必要な量に分けられて届けられていきます。

卸売市場は、日常的に必要な生鮮食料品を、短時間に効率よく、適正な価格で流通させることで、生鮮食料品を作る生産者と、その生鮮食料品を使う私たち生活者を結ぶ働きをしています。

~語句説明~

すべての業務が終わり次の日の入荷を待つ 昼下がりの卸売市場の様子

すべての業務が終わり次の日の入荷を待つ
昼下がりの卸売市場の様子

■卸売業者
生産者から預かった荷物を「せり」などで値段を決めて、仲卸業者や売買参加者に売る人のこと。
■仲卸業者
卸売業者からたくさんの品物を仕入れる人。市場内の店舗で営業し、品物を仕分けて販売をする。
■売買参加者
卸売業者の行うせりに参加して、仕入れた品物を町で売るお店(魚屋、八百屋、スーパーマーケット等)のこと。

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

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