
ところで「子供に現金をプレゼントする」という習慣は、日本と中華圏の一部に限られているようだ。少なくとも欧米には、そのような風習はない(らしい)。米国で勤務していた頃、現地の友人に日本のお年玉の話をしたところ、かなり驚いていた。
子供に「お金」のことを教えるのは、なかなか難しい。日本では、「子供はお金の話に関わるべきでない」との考え方が根強い。反対に米国では、幼少期から「お金」の大切さについて身を持って経験させ、経済面での自立心を養うようだ。おこづかいは、芝刈りや犬の散歩など家事の手伝いの「報酬」として渡すことが多いようだし、高校生が洗車で課外活動の遠征費用を稼いでいる姿も見掛けた。
日本銀行高松支店長は、香川県金融広報委員会の会長を務めている。同委員会は、県や四国財務局と協力しながら、暮らしに身近な金融に関する幅広い広報活動を行っている。近年、特に力を入れているのが小中高生に対する金融教育である。それぞれの学習段階に応じた分かりやすい教材を作成しているほか、金融広報アドバイザーの先生方の協力を得ながら、実際の教育現場において様々な取り組みを行っている。
どのような人生を歩むにしても、社会で生きていくうえで「お金」と無縁ではいられない。特に、2022年4月からは、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられる。法律的には、高校3年生の頃から一人前の大人として扱われ、保護者の同意を得ずに、クレジットカードの作成など各種の契約を行うことが可能となる。経済的な自立が求められるまでの時間は、意外と短い。
「人生に必要なのは、勇気と想像力と、少しばかりのお金だ。」─チャップリンの『ライムライト』の名言である。子供たちが将来、「お金」と上手く付き合っていくために、大人たちがなすべきことは多い。興味を持たれた方は、是非、香川県金融広報委員会のホームページ(http://www3.boj.or.jp/takamatsu/koho/index.htm)をのぞいてみて頂きたい。
日本銀行高松支店長 正木 一博
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