アンテナ張り、地域を楽しむ

NHK高松放送局長 杉岡 純さん

Interview

2015.11.19

広島県出身で東京のほか鹿児島、新潟、北海道、大阪での勤務も経験してきた。「広島と同じ瀬戸内なので、香川には親近感があります。小さい中にいろんな要素がぎっしり詰まっているという印象です」

地図をお供に

家族は神奈川に住み、単身赴任中だ。休日も「のど自慢」といった公開番組や地元のイベントへの出席も多いが、休める時はマイカーで温泉に行くなどして過ごす。「温泉が好きなので、いずれ香川中、四国中の温泉を巡りたいですね」。料理とお酒も好きだ。「たいしたものではないですが、自分で作ります。酒のつまみですね。ここは魚がおいしい。それで香川のお酒を飲みます」

鹿児島では焼酎、新潟では日本酒、前任地の大阪は「マッサン」ブームでウイスキーと、各地のお酒を楽しんでいる。「地域を楽しむと良さも分かります。地元の料理には地元のお酒が合いますね」

着任から1カ月は、新聞を読む時に手元に香川県の地図を置いた。「記事に地名が出ると、どこだろうと地図を見ながら読んでいました」。約2カ月で全市町を回り、位置関係や距離感がつかめた。「地方は人口減少が課題になっていますが、自治体ごとにいろんな取り組みをされています。NHKでも、そういう活動のお役に立てるような情報を出せたらいいなと改めて思いましたね」

人の姿を描く

大学時代は映画研究会で、8ミリ映画を撮っていたと言う。「ドラマにも興味があったんですが、主に報道番組に携わってきました」。ニュースやドキュメンタリー番組の制作で、報道の面白さに魅せられた。「その人の生活や仕事、挑戦を通して、世の中を見る。人間の姿をきちんと描くって言うんでしょうか。ドキュメンタリーはさらにその奥に入っていくという感じですね」

印象に残っているのは、ベルリンの壁崩壊。その年の年末番組で取り上げるために、ドイツへ取材に行った。「行ってみると、当たり前なんですが皆さん普通に生活していらっしゃるんですね。今は東も西も関係ないですが、当時は東側の生活を見るなんてことはなかったですから」。目まぐるしく変わる環境の中で、日々の営みを続ける人たちの姿を見て、人間のたくましさを感じた。

「とにかく動く。行ってみないと分からないので。いかに足で稼ぐかは取材者にとって大事だと思いますね。インターネットの発達で、今は様々な情報が簡単に手に入るようになりましたが、やはり基本は現場に行くことです」。人に会って話を聞くこと、世の中に関心を持つこと、さまざまなジャンルにアンテナを張ることを大切にする。

「地域の魅力を発信することもそうですが、災害報道も私たちの使命。報道によって、地域の皆さんの生命や財産を守ることのお役に立てれば。各地でこれまでなかったような災害が起きています。香川もいつ起きるか分からないという心構えが必要ですね」

杉岡 純 | すぎおか じゅん

略歴
1959年 広島県広島市生まれ
1982年 中央大学商学部 卒業
1983年 日本放送協会 入局
2005年 報道局おはよう日本チーフプロデューサー
2007年 報道局スポーツ業務監理室副部長
2009年 新潟放送局放送部長
2014年 大阪放送局副局長
2015年 高松放送局長

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