
「5年前、大型商業施設の客寄せに観覧車を提案したら、是非やりたいが運営できないと言われました。その時目が覚めました。これはビジネスになると気づいたんです」。
大型商業施設と連携したミニ遊園地の集客効果に、既設、新規業者の双方から導入相談が相次いでいる。四宮さんが展開するミニ遊園地が、中小規模の遊園地再生のビジネスモデルになりそうだ。
大型商業施設とミニ遊園地の組み合わせ
ミニ遊園地との提携で大型商業施設に”家族が一緒に楽しめる“場所が生まれた。
※(アウトレットコンサート長柄)
千葉県長生郡長柄町にあるアウトレットモール。
ミニ遊園地は大人も楽しめる

服を買ったら観覧車の割引券が貰える。テナントと遊園地のタイアップが家族客を呼ぶ。10歳以下の子供に『日曜日はどこに行きたいか』アンケートしたら、マリーナホップが1位になった。
「遊園地には、輪投げや金魚掬いなど縁日のお店もあります。一番人気のキッズランドは、自由に走り回れて滑り台もあります。自転車にも乗れる。ボールプールに飛び込んだら、頭からすっぽりボールの中に埋まって、大人も腕白小僧の気分になれます」・・・懐かしいデパート屋上の遊園地が復活した。小さな子供が仮想現実のテレビゲームに夢中になる時代だから、体を動かして遊ぶ遊園地が大切だと四宮さんは信じている。
※(マリーナ・ホップ)
広島市西区観音にある中四国地方最大のアウトレットモール。
※(ボールプール)
大量のボールを柵のなかなどに満たして、そのなかに入る遊び。
コンテナ仕様で移動式
3年前に三井不動産に売り込んだときは門前払いだった。その相手から仙台市の話が持ち込まれた。競争の激しい大型商業施設が、利用者に親しまれる遊園地を欲しがっているのだ。
仙台に持ち込んだ観覧車は、5年前に千葉県の「アウトレットコンサート長柄」に仲介したものだった。「実は今年の1月に遊園地を閉店したので、うちが観覧車を移設したんです。大型商業施設は近くに新しい施設ができたら敵いませんし、観覧車が飽きられることもありますから」。
従来の遊園地は「市場の変化」を前提にしていないから、遊具施設や構造物を変えるのが難しい。四宮さんのミニ遊園地は”据え付け・撤去が簡単コンテナ仕様“が特色だ。
「空き地を使うユニットハウスの発想です。お客が減ったら次の遊園地へもっていけます」。使い回しが出来る移動式遊園地だ。
※(愛媛)
愛媛県東温市の「レスパスシティ」
※(静岡)
静岡県静岡市清水区清水港の「エスパルスドリームプラザ」
※(仙台)
宮城県仙台市の「三井アウトレットパーク仙台港」
ユニットハウスのお化け屋敷で遊園地業界へ
パラゴンの成功が遊園地業界に入る転機になった。立体映像といすの動きを連動させた4Dシアターや忍者屋敷、室内の壁が回転して真っすぐ歩けないワームホールなどを次々開発した。
「観覧車やジェットコースターのような大型遊具機械は作りません。”安い“”移動、設置が簡単“”新しくて誰でも楽しめる“がコンセプトです」。
※(ボディーソニック)
スピーカーで再現しきれない、重低音の臨場感を振動で再現する体感音響装置
不況の中に商機を見つけた
いつも新しい仕組み

1カ所の投資金額は2億円まで。売上は月1000万円、年間1億2000万円を見込む。「中古だから償却を引いても荒利は50%残ります。でも自社だけではこれ以上の受注に応じきれないので運用資金の証券化も考えています」・・・体力強化がこれからの課題だ。
「些細なことを工夫してなにかできないかと考えるのが楽しみで、失敗したら努力が足りなかったのだと思います」・・・慣例や常識の隙間に起業のヒントを見つける四宮さんは、経営が苦しい中小遊園地を、機動性と低予算で再生する。そして大型商業施設に家族を呼び込む装置にする。誰も思いつかなかった四宮さんのビジネスモデルだ。
「当時のファックスやコピー機器は事務机ほどの大きさでした。東芝では営業マンが売ったその事務機器の納入を、工場サイドが手配していたんです」。工場が運輸会社に見積もりを頼む。運輸会社は納入先を下見して見積額を出す。東芝は大企業で、事務機器を買うのは官庁や一流会社だった。納入作業の難易度に関わらず運送会社のいい値で決まっていた。営業マンも納入の難易度が分からないから、その値段が当たり前だと思っていた。
「運送会社は、荷物を納入先に運んで置く。それをサービス会社が梱包を解いて組み立てました」。納入に2度の手間と経費を掛けていた。
「製品のことはある程度分かっていましたから、『納入』と『組立・テスト』の両方を引き受ける事業を始めたんです」。納入経費が安くなった会社と顧客、そして納品の立会に行かなくて済むようになった営業マンにも喜ばれた。
四宮 武義 | しのみや たけよし
- 略歴
- 1951年 高松市生まれ
1969年 高松商業高校卒
東芝商事入社
1986年 シーキュー・ロジテム設立
1990年 シーキュー・アメニック設立
株式会社シーキュー・アメニック
- 住所
- 香川県高松市檀紙町2271-9
- 代表電話番号
- 087-885-4040
- 設立
- 1990年
- 社員数
- 60人
- 事業内容
- 1.アミューズメント機器の開発、製造、販売及びリース
2.スポーツ、レジャー製品、施設の開発、企画、製造、販売
3.各種イベントの企画、運営
- 沿革
- 1990年 株式会社シーキュー・ロジテムの販売会社として
設立
主に空調機器、ユニットハウスの販売・リースを
行う
1995年 3Dサウンドシステム「パラゴン」を発売、以後
30カ所に納入
1997年 アミューズメント事業部設立
2000年 アミューズメント事業部がメイン事業となる
2004年 千葉県「アウトレットコンサート長柄」にミニ
遊園地をオープン
大阪府堺市「ハーベストの丘」に観覧車を導入
2005年 広島県「マリーナ・ホップ」にミニ遊園地を
オープン
2006年 高松市宮脇書店「ブックプレイランド」にミニ
遊園地をオープン
2007年 千葉県「ラジコン天国」をオープン
2008年 愛媛県東温市「レスパスシティ」にミニ遊園地を
オープン
静岡県清水港「エスパルスドリームプラザ」に
ミニ遊園地をオープン
宮城県仙台市「三井アウトレットパーク仙台港」
にミニ遊園地をオープン - 資本金
- 6100万円
- 地図
- URL
- http://www.cq-amenic.co.jp
- 確認日
- 2008.11.06
おすすめ記事
-
2021.07.15
事業を通じて社会貢献を
ベトナム産カシューナッツ/Ulu mea(ウルメア)
-
2021.05.09
大学卒業と同時にジムを開業
polighit(ポライト)
-
2020.05.08
消費だけではない暮らし方
暮らすこと 代表取締役 島崎 ふみ子さん
-
2019.08.15
好きな気持ちがまちを盛り上げる
株式会社OIKAZE 代表取締役 相原 しのぶ
-
2019.07.04
まち全体を会社や宿泊施設に
UDON HOUSE 代表 原田佳南子さん
-
2009.08.20
転勤15回で培った財産は人脈と信頼。「いいもの」を
コーディネートして、世の中に役立つものを創っていきたい大地コーポレーション 代表取締役 平原 崇彦さん
-
2012.03.15
ビジネス街の中心に誕生 起業を応援するスマートオフィス
高松セントラルスカイビルディング 代表取締役社長 廣瀬 克明さん
-
2017.11.02
ネット社会と地方都市の未来
日本銀行高松支店長 正木 一博
-
2017.07.06
私は地元が嫌いだった
株式会社 新閃力(しんせんりょく) 代表取締役 尾崎 えり子
-
2018.06.21
新設は721社、前年比21社増
2017年香川県「新設法人動向」調査 東京商工リサーチ
-
2015.09.17
ドローンで人命救助を
空撮技研 代表取締役 合田 豊さん