
最近よく耳にするようになったドローンとは、小型無人飛行機(マルチコプター)のことだ。このドローンを人の役に立つこと、特に災害時の救助活動に役立てたいと懸命に取り組む人がいる。空撮技研の代表を務める合田豊さん(51)だ。
「空からはどんな景色が見えるんだろう」。そんな気持ちから、ラジコンヘリにカメラを取り付けて空撮を始めた。レタス畑や豊稔池など地元の観音寺市の景色をたくさん撮影した。「小型飛行機を娯楽だけでなく、世間で役立てたい」。親類が地震で被災し、そう考えるようになった。「情報収集にも支援物資を送るのにもひどく難儀しました」。物資の運搬に使えるのでは、とひらめいた。
ラジコンヘリは緻密な仕組みを要するため価格が高く操縦も難しいが、ドローンは作りが簡単で価格も安い。GPSと姿勢制御装置を搭載しているため自律飛行が可能で、操作も格段に易しい。ラジコンヘリ歴25年の合田さんは、どちらの操縦もお手の物だ。運搬にはより安定性の高いドローンを使う。

今年6月には高松市内にドローン・ファクトリーをオープン。ドローンの展示、販売、技術指導を行う店だ。機体の購入者にはもしもに備えて「ドローン保険」も紹介している。ドローン・ファクトリーの店長を務めるのは、小野正人さん(37)。小野さんは、合田さんと共同でドローンによる貨物・物資輸送分野を研究し、実証実験を進めている。実験には香川大学工学部も参加する。
手軽さゆえ人気に火が付いたドローンだが、操縦者が機体の特性を熟知しないまま扱うと落下などの事故が起きる。合田さんは県内の事業者に呼び掛けて香川県ドローン安全協議会を設立。ガイドラインを策定し、安全利用のための講習会や啓発活動も行う。9月4日には、ドローンの飛行を規制する改正航空法が成立した。協議会設立は、今後厳しくなるであろう規制に、事業者が一丸となって対応するためでもある。

「香川をドローン先進県として、雇用も生み出せるようにしたい。瀬戸内海でロボットが自在に仕事をする。そんな夢も見ています」。上空から写真を撮ってみたい。そんな好奇心から空撮を始めた合田さん。人は空を飛べないからだろうか、翼に夢や希望を託すといった表現はよく耳にする。人命救助へと向かう合田さんの機体には、まさに希望の光が輝く。
合田 豊 | ごうだ ゆたか
- 1963年11月 観音寺市生まれ
1982年3月 三豊工業高等学校 卒業
1982年4月 日本電信電話公社 入社
2014年9月 NTT西日本 退職
2014年11月 株式会社空撮技研 設立、代表取締役 就任
- 写真
株式会社空撮技研
- 所在地
- 観音寺市大野原町大野原5316-1
- TEL
- 0875-54-2600
- 事業の概要
- 無線航空機による撮影業務
機体製作販売、宅地建物取引業 - 資本金
- 300万円
- 社員数
- 2人
- 確認日
- 2018.01.04
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