好きな気持ちがまちを盛り上げる

株式会社OIKAZE 代表取締役 相原 しのぶ

Interview

2019.08.15

OIKAZEのオリジナルアイス(上) 香川本鷹の一味や七味の詰め替え容器(下)

OIKAZEのオリジナルアイス(上)
香川本鷹の一味や七味の詰め替え容器(下)

「地域の追い風になる」。2017年に設立した株式会社OIKAZEは、丸亀市からの業務委託で地域商社事業を担う。丸亀産の食品や工芸品を首都圏の店に卸売りする。代表取締役を務めるのが、相原しのぶさん(37)だ。

2019年5月には通町商店街にあるオフィスに、ショップとしての機能を持たせた。丸亀市内のメーカーと協力して、もともとある商品のパッケージデザインを改良したり、生産者とメーカーをつないで新商品を開発したりなど、OIKAZEでしか買えないものが並ぶ。桃、しょうゆ豆、唐辛子の香川本鷹を使ったオリジナルのアイスはお中元として人気に。 

丸亀市と姉妹都市のスペイン・サンセバスチャンのワイン「チャコリ」を味わえる「まるがめチャコリスタンド」も始めた。OIKAZEは、昼間はショップとして、水・木・金曜日の17~20時は立ち飲み屋として営業中だ。

相原さんは生産者とメーカーをつなぐために、日本各地へ足を運ぶ。香川本鷹を出荷する農家は、丸亀の塩飽諸島では手島の1軒のみ。伝統を守るために、まずは売り先を確保したいと考えた。そこで訪ねたのが、大阪府堺市にある和風香辛料の製造販売元「やまつ辻田」だ。古来の品種を守るためならと、社長は快く加工と商品化を引き受けてくれた。香川本鷹を使った一味と七味が完成し、詰め替え用の容器はOIKAZEオリジナルのものを作った。
相原さんは徳島県出身。大学在学中の飲食店でのアルバイトをきっかけに、接客業の面白さを知る。旅行が好きなこともあり、いつか自分で宿を経営したいと思うようになった。

卒業後はホテルや小料理屋で働き、26歳からは旅行予約サイト「じゃらん」の営業を務めた。中・西讃地域の担当になり香川へ。6年半勤めて退職。宿の開業に向けて、契約直前まで物件の話が進んだが、最終的にまとまらなかった。そんなとき、もともと好きだった仏生山温泉の求人を見つけて、働くことに。

いろんな仕事を経験して印象に残ったのは、お客さんからいわれた「お金持ちではなく『人持ち』になりなさい」という言葉。仏生山温泉からの独立を考えたときに選んだのが、丸亀だった。「丸亀はチャレンジを応援してくれるまちだと感じていました。イベントをブラッシュアップして続けるなど、物事を改善・継続していくパワーもあります」。そのタイミングで地域商社事業を知り、手を挙げた。
丸亀市通町商店街にある「OIKAZE」

丸亀市通町商店街にある「OIKAZE」

社名を何にしようか悩んでいたところ、ネットである写真を見る。高校野球の大会で、丸亀高校の応援団が、大きなうちわを仰いでいた。思いを込めたその風が、選手の背中を押しているように感じた。社名をOIKAZE(おいかぜ)にすることを思いついた。

「地域商社は『地産外消』で販路を開拓していくのも大事だけれど、地元の方にこそ魅力をもっと知ってもらいたい。『丸亀にこんなものがあったんだ』と思うことが、さらに好きになるきっかけになる。好きな気持ちが、地域を盛り上げていくと思っています」

丸亀市の事業としての地域商社は、3年で終わる。4年目になる来年度からは、OIKAZEが独立採算で運営を続けていく。宿のオープンもいずれは実現したいと考えている。お客さんが食事や観光など、まちの魅力を存分に楽しめるよう、宿泊と朝食だけの小さな宿だ。

鎌田 佳子

相原 しのぶ|あいはら しのぶ

略歴
1982年 徳島県小松島市生まれ
2000年 小松島高校 卒業
2004年 広島大学教育学部 卒業
宿泊施設、飲食店などを経て
2017年 OIKAZE 設立

株式会社OIKAZE

住所
香川県丸亀市通町35-2
代表電話番号
0877・58・1088
設立
2017年
事業内容
地域産品の販路開拓・商品開発、他地域や観光等異分野連携も含めたビジネスモデルのプロデュース
OIKAZE SHOP:11~17時営業、火曜日定休
まるがめチャコリスタンド:水・木・金曜日の17~20時営業
地図
URL
https://oikaze-mg.com/
確認日
2019.07.26

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