そこで、翌日のネタが決まると予定原稿を書いて撮るべき映像を頭に思い浮かべる。それを丹念に続けているうちに予定原稿を書かなくても現場でどういう映像を撮るべきか自然に分かるようになったという。「書いた原稿はデスクがチェックして直すけれど、映像は変えられない。最初はそれが不安でしたが、だんだん“一発勝負”の感覚が快感になってきて。カメラマンは自分に合っていたんでしょうね」
経験を重ねると、自分が撮りたいものも見えてくる。「北海道にいたからかもしれませんが、『自然と人間のかかわり』をテーマにしたネタが多かったですね」。今も覚えているのは、ゴルフ場に出没するキツネの話。キツネがゴルファーたちの打ったボールをくわえて逃げてしまうという話題だが、そこに自然開発が進む現実や共存の難しさといったテーマを、キツネを追いかけるゴルファーたちと恨み節のインタビューを交えて表現した。「社会的なメッセージがないと報道として意味はない。独自ネタの企画リポートを制作する時は、放送する意味を常に自分に問いかけるようにしていました」
会心の作品
ドキュメンタリーも制作した。マザー・テレサ没後1年にその功績を振り返る内容だ。生前、彼女が支援していたハンセン病の治療・自立施設で本人がいない中、多くの人が集まり誕生会が開かれる。カースト制度があるインドで、身分も宗教も関係なくすべての人がお祝いの言葉を述べる。「マザー・テレサが身分も宗教もすべて超越した存在だった、という本質が伝えられた会心の作品でした」。放送後の反響が高かったことも嬉しかったという。
後輩たちへ、環境を整えたい
あとは、趣味と実益を兼ねて自転車で香川を隅々までまわりたいという。「松山にいる時に四国全土を走破しましたが、もう少しじっくりと見て香川の魅力を吸収し、仕事のモチベーションアップにもつなげていきたいですね」
石川恭子
池田 信浩 | いけだ のぶひろ
- 略歴
- 1963年 長崎県生まれ
1982年 長崎県立長崎南高校 卒業
1986年 青山学院大学 卒業
日本放送協会(NHK) 入局
札幌放送局放送部カメラマン
1993年 本部報道局映像取材部カメラマン
1997年 インド・ニューデリー支局カメラマン
2000年 本部報道局映像取材部デスク
2005年 エジプト・カイロ支局チーフカメラマン
2007年 本部報道局映像取材部総括デスク
2012年 名古屋放送局報道部専任部長
2015年 鹿児島放送局副局長
2017年 松山拠点放送局副局長
2019年 高松放送局局長
NHK高松放送局
- 住所
- 高松市錦町1-12-7
TEL.087・825・0151(代表) - 地図
- URL
- http://www.nhk.or.jp/takamatsu/
- 確認日
- 2018.02.15
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