地域と国をつなぐ役割を果たしたい

四国財務局長 安出克仁さん

Interview

2019.11.07

40年近いキャリアのうち、ほとんどの期間を財務省主計局で過ごした。主計局は、国の予算、決算の作成などを担う部局。毎年8月末に各省庁から次年度の予算要求が出され、各省庁の担当者から項目ごとに説明を聞く。その内容や要求額が妥当かどうかを何度も各省庁と議論し、査定を重ね、ようやく12月に政府としての予算案ができる。

主計局に配属されたのは、4年目の時。「年末になると、あと数時間という中で各省庁と折衝しながら数字をつくる。時間との戦いでした」。国会に出された予算案は、予算委員会で審議され3月にようやく予算が成立する。「そこで初めて、国会や国民のみなさんに予算を了承していただいたと実感します。4月から予算が使える環境をつくることができたと考えると、ものすごく達成感がありました」

先輩には、なるべく現場に出かけるようにと言われた。例えば、ダム建設の予算が出されたとして、建設する場所、工法、水量、見積もりといった資料だけでは実際のところは分からない。現地に出かけて地元の状況を確かめ、時には工事についてろ話を聞いてみる。「本当に勉強になりますし、予備知識があるから予算折衝の時に担当者と深い議論ができる。仕事のおもしろさにつながりますね」

相手の話を聞くこと

職場の仲間と石鎚山へ登山

職場の仲間と石鎚山へ登山

主計局に配属される前の3年間は、関東財務局で「国有財産の貸付け業務」を担当していた。契約更新時には、貸付をしている相手に貸付料や契約の話をしに行くこともあった。「交渉がなかなか進まず苦労する時もありましたが、相手の話をとにかくよく聞いて納得してもらって物事を決めるのが大事。この時の経験は、その後の公務員生活に役立ちました」

話をよく聞くこと、現場を大切にすること。それを今も心掛けている。四国財務局では、所属長だけではなく若手も交えて話をするなど、若手職員とも積極的にコミュニケーションを取りたいと考えている。

休日は観光も兼ねて四国各地に出かけ、街の雰囲気を知ろうとしている。「八十八カ所のうち香川県と徳島県のお寺は、ほぼ回りました。この間、屋島に自転車で行こうとしましたが、あまりに急な坂だったので断念して途中から歩いて登りました」。職場の人と、石鎚山にも登った。

仕事の上でも、地域の企業を実際に訪問して話を聞いていきたいという。

四国財務局の役割は

国有財産四国地方審議会でのあいさつ

国有財産四国地方審議会でのあいさつ

地方の財務局の役割は、財務省の出先機関として国と地域をつなぐことだと考えている。今、四国の企業を訪問する中で感じているのは「人手不足」という課題。「ほかにもいろいろなご意見や要望があります。それを、単に聞いて終わりにはしたくないですね」。要望がすぐに反映されるわけではないけれど、本省の関係部署にきちんと話をする。その上で「こういう話をしました」と企業に返すことは最低限やりたいという。

「地域の人に信頼してもらえるよう、自分たちの仕事をきちんとする。その上で、地域貢献にも取り組んでいきたいと思っています」

石川恭子

安出 克仁 | やすで かつひと

略歴
1961年 山梨県生まれ
1980年 山梨県立甲府東高校 卒業
    関東財務局総務部人事課 採用
1983年 主計局総務課
1992年 主計局司計課司計第六係長
1997年 同 総務課予算統括第一係長
2002年 同 予算実地監査官
2005年 同 総務課課長補佐
2011年 福岡財務支局長崎財務事務所長
2012年 関東財務局甲府財務事務所長
2013年 主計局調査課財政調査官
2018年 同 司計課長兼会計センター次長
2019年 四国財務局長

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