経験はすべてつながっている

東京海上日動火災保険(株) 常務執行役員(四国エリア担当) 吉田 正子さん

Interview

2020.12.17

主に、保険の引受事務を担う事務職として入社した。しかし、異動のたびに今までと全く違う業務に携わることになり、さまざまな経験をしてきた。最初の大きな変化は、入社8年目での営業担当への異動。「自転車で担当エリアをまわりお客様と話をするうちに、今までは数字だけでお客様を理解していたと気づきました」。同じ業種でも、会社によって業務内容もリスクの捉え方も違う。じっくり話を聞きながら、それぞれに合わせた提案をしていくことがおもしろかったという。

手作業だった事務処理をシステム化するプロジェクトにも携わった。「最初は打ち合わせの時に出てくる専門用語がわからなくて」。無理かもしれないと思ったが、「上司は私がシステムに詳しくないことを知っている。自分に求められている役割は別にあるんじゃないかと思い直したんです」。事務担当、営業担当、事務担当の指導員を経験した自分は、現場代表として参加している。だったら、現場の人たちが使いやすく業務が効率化でき、顧客のメリットにもつながるシステムになるように、という思いで意見を出した。

新たな業務に取り組むときはいつも不安だったが、その都度上司や先輩が背中を押してくれた。「先輩たちの言葉で、自分の仕事の結果がどうつながっているのか、仕事の意味を考えるようになりました」

阪神大震災をきっかけに

社内での打合せ

社内での打合せ

阪神大震災のときは、大阪・神戸の支店をサポートするため、現地に向かった。「被害を受けないことが大前提ですが、万が一被災したときに保険が少しでも助けになれば」。保険金を当座の生活費に充てることができ「ほっとした」「片付ける気力が出た」と感謝されたことは、今も心に残っている。

同時に、震災で保険関係書類が「紙」である不便さを痛感するきっかけにもなった。支店や営業所では棚が倒れ、書類が散乱していた。大切な保険証券を紛失した被災者も多かった。そこでペーパーレス化や、誰が行っても対応に差がないよう業務の標準化を進めた。自身も、災害時にはどう対応するか常に意識するようになったという。

東日本大震災での対応も経験した上で、改めて四国で力を入れたいと考えているのが災害への備えだ。エリアの全社員を対象に、災害時には何が起こるか、自分はどう行動すべきかを話し合う勉強会を実施している。「保険が被災者の助けになるように、いざという時も冷静に適切に対応できるようにしておきたい」

次に続く後輩たちへ

休日に小豆島に出かけた

休日に小豆島に出かけた

仕事をする上で「つなぐ」がキーワードだという。各部署で全く違う仕事をしてきたようで、すべてはつながり自分の力になった、システム開発の際は現場と会社をつなぐ役割を意識した、さまざまな人とつながり助けてもらいながら進んできた。そんな経験を管理職となった今、後輩たちに伝えたいという。

「自信がないという人には、自分だけで抱え込まずとにかくやってみようと背中を押しています。先輩たちが私にしてくれたように」。目標を見つけ、チャレンジしようと思う人が増えれば嬉しい。「その中から女性の管理職が数多く育っていけば、会社や世の中を変えることにつながると思います」

石川恭子

吉田 正子 | よしだまさこ

略歴
1961年 東京都生まれ
1980年 都立第一商業高校 卒業
    東京海上火災保険株式会社 入社
2007年 東京中央支店業務グループリーダー
2009年 京葉支店船橋支社長
2011年 旅行業営業部長
2012年 理事旅行業営業部長
2013年 執行役員旅行業営業部長
2015年 執行役員千葉支店長
2018年 常務執行役員(四国エリア担当)

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