技術で社会に貢献したい

株式会社フレップテック 代表取締役 楠田 亘さん

Interview

2017.12.07

来年以降でShippo発売を目指す。価格は2万円程度

来年以降でShippo発売を目指す。価格は2万円程度

香川高等専門学校1年生の時に、車いすに取り付けて後方を確認する装置「Shippo(シッポ)」を開発した楠田亘さん(17)。今年5月には、障がい者向けの製品開発と教育事業を行う会社「フレップテック」を立ち上げた。
3Dプリントで製造中の製品

3Dプリントで製造中の製品

幼稚園のころから、チーズの丸い空き箱で変身ベルトを作っていた少年は、その後もダンボールで歯車を作り、ブロックにはまり、やがて電子工作やプログラミングを覚えてエンジニアを目指した。競技ロボットの制作にのめり込んでいた高1の夏休みに、会社設立のきっかけとなる出来事が起こる。ツイッターに上げていた自分の作品を見た大手CADメーカーから声がかかり、東京や大阪でプレゼンすることに。そこでプロのエンジニアたちと出会って意識が変わった。「プロが直接社会に役立つものを生み出す姿を見ると、競技用ロボットを作るのもいいけれど、もっと社会に貢献する近道があるように感じて。それで、製品づくりを始めたいと考えました」
Shippoは事故などで頸髄を損傷して車いすを利用している人たちに「首が後ろに回りにくいから、バックするとき後方確認できず、車いすをぶつけてしまうことがある」という話を聞いたことから発想した。最初は、レーザーで距離を測り、ぶつかりそうになったら音で知らせる製品を試作した。しかしユーザーから「私たちのことを、首から下が“動かせない”ではなく首から上が“動かせる”と捉えるべき。危険かどうかの判断はできるんだから、それは自分でしたい」と言われ、一から設計をやり直した。「止まる判断まで機械に任せるのは違うと気づかされました。必要なのは、その人がもつ能力を最大限に生かす製品なんです」

改良型は、後方の状況を確認できるカメラの画像を、車いす利用者が手元のモニターで確認できる。「技術というのはただのツール。技術を進化させることに意味があるのではなく、それをどう使うかが大事だと思います」
小6の時から突然不登校になり、医師から発達障害と診断された。そんな中、当時の先生は科学体験発表会に出品したレポートを全校生徒の前で発表しては、と勧めてくれた。「いざやってみたら拍手喝采。人間は誰でも凸凹があって、得意な部分を見せれば今まで自分が悩んでいた些細なことなんてみんな忘れるんだ」と吹っ切れた。今、障がい者向けの製品を作るのは、昔の自分のように“人と違うこと”に引け目を感じてほしくない、それを技術で後押ししたいという思いがあるからだと言う。

そんな自分の経験を、子どもたちに伝えたいという夢がある。「技術の知識を教えるだけではなく、ものづくりが苦手な子も学校に行けない子も、得意な部分を伸ばせる取り組みがしたいと思っています」(石川 恭子)

楠田 亘 | くすだ わたる

2000年 東京都生まれ
2016年 香川高等専門学校 入学
2017年 株式会社フレップテック 創業
写真
楠田 亘 | くすだ わたる

株式会社フレップテック

所在地
高松市常磐町1-9-2
連絡先 official@hreptech.com
事業概要
障がい者向けのプロダクト開発と教育事業
障がい者向けのプロダクト開発と教育事業
100万円
地図
URL
http://hreptech.com/
確認日
2018.01.04

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