消費だけではない暮らし方

暮らすこと 代表取締役 島崎 ふみ子さん

Interview

2020.05.08

雑貨店やベーグル店の経営、イベントの企画・プロデュースを手掛ける株式会社 暮らすこと。代表取締役の島崎ふみ子さん(44)は「衣食住を心豊かに暮らすことや、人が輝く居場所づくりを提案したい」と話す。
「暮らしの森」は、工務店の倉庫を活用した  コミュニケーションスペース

「暮らしの森」は、工務店の倉庫を活用した

コミュニケーションスペース

子どものころから働くことに興味があり、「働くこと=生きること」と考えてきた。高校で和洋裁を学び、和裁士を目指すが断念。「職人のように黙々と作る仕事は向いていませんでした。地域や人と関わることがしたいと気付いたんです」

22歳で結婚。子育ての合間に洋裁の技術を生かして、雑貨作りを始めた。幼稚園バッグや子どもの服を作ってほしいと、近所でも人気になったという。2006年、家の新築を機に、雑貨店を併設して開店することに。自分で作ったものだけでなく、古物や仕入れた商品も販売。パン好きが高じ、全国のパン屋から仕入れて、パンやベーグルの販売会も始めた。四国各地の雑貨店や飲食店を誘ってイベント開催など、企画・プロデュースもするようになった。

お店が手狭になり物件を探していた時に、地元の金丸工務店の倉庫と出合う。店舗として入居するだけでなく、全体のプロデュースを任された。金丸工務店が大切にしている「木」と、島崎さんが提案したい「暮らし」を合わせて、2015年に「暮らしの森」が誕生。島崎さんのお店だけでなくカフェや料理教室、ギャラリーなどもある、地域住民がコミュニケーションできる場になった。雑貨店のパン部門は独立させ、16年にベーグル専門店「暮らしのパン 日々」を開店した。

「これだけものがあふれる社会で、お客さんは買うだけ、食べるだけではもう満足しない。心の豊かさや学ぶことを求めていると思います」。暮らしの森では、ヨガやハーブなどのカルチャー教室を定期的に開催している。「学ぶことを中心に、人と時間や場所を共有して心の『引き出し』を増やす。地域や社会の一員なんだと感じられたら、人はやりがいを持てるのでは」
「暮らしのパン 日々」で製造・販売するベーグル。  暮らしの森でも一部を販売。

「暮らしのパン 日々」で製造・販売するベーグル。

暮らしの森でも一部を販売。

人脈は広がり、今では他の地域から移住したい人に頼まれて物件を紹介。その人の特技を生かせる仕事を提案したり、地元の人とつないだりすることもある。架け橋のような役割を果たし、「自分でも何屋さんか分からないくらい。ただ、いい人材に働いてもらうには法人化が必要だと考えて、19年4月に会社を設立しました」

今考えているのは、DIYが得意な人のための大工教室。本職と同じことができなくても、床張りなどの作業を手伝えるようになることで、まちに「小さな大工さん」を増やしていく。それぞれの仕事や働き方の幅が広がる可能性があるし、災害時に力になれる人材が育つことを期待している。

「自分のしていることが、まちの元気に繋がったり、誰かの励みになったらうれしい。仕事は暮らし、暮らしは仕事。そんな生き方を提案していけたら。三豊だけでなく他地域にも足を運んで、新しいコミュニティの形を伝えていきたい」

鎌田 佳子

島崎 ふみ子|しまざき ふみこ

略歴
1976年 三豊市生まれ
1994年 坂出第一高校 卒業
2006年 雑貨店オープン
2015年 「暮らしの森」プロデュース
2016年 ベーグル専門店「暮らしのパン 日々」オープン
2019年 株式会社 暮らすこと 設立

株式会社 暮らすこと

住所
香川県三豊市豊中町本山乙21‐1
事業内容
雑貨店・ベーグル店の運営、イベントの企画・プロデュース
地図
URL
https://www.kurasucoto-official.jp
確認日
2020.04.27

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ