天網恢々疎にして漏らさず

四国なんでも88箇所巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

column

2019.05.02

私の住むYH町は、高松市内でも女木町とここだけのただ2町、信号機のない最果て(町民の皆さんごめんなさい)の町である。ついこないだの自治会で「今度、Fが出てくるらしいで」ということが話題に出た。Fさんという一人暮らしの高齢者が昔から住んでいるが、過去幾度となく窃盗や軽犯罪を繰り返して刑務所と自宅を行ったり来たりしている人物である。どうやら刑務所の方が働かなくても楽な暮らしが出来るということらしい。

前回も近所の他人の畑で勝手に盗った野菜を隣町の駅前で売っていたところを捕まった。隣町の人とうちらの町との間でその話題が出たときには「そういやあの野菜売り、最近見んなぁと思うとった。安いし美味しかったのに」。「そりゃそやろ、うちくの畑の盗れたてやもん」というやりとりがあったそうな(笑)。

そんなFさんだが「出てきている」期間は町中から目をつけられていて、奥さん連中の毎日の井戸端会議で、みんなの話を時系列的に統合していくと、首相ならぬ「昨日のFさん動静一覧」が町内地図の上に描けてしまうそうだ。町には交番もないが、こんな案配では犯罪者も安心してうろうろできない(笑)。逆に鍵をかけなくても住める町でもある(一応、かけてますよ)。

そもそも昔の日本には、こんな困った人達でも地域社会の中でそれなりの扱いで共生できる寛容さがありました。それが人間の入れ替わりで対面のコミュニティがなくなると、今の一部のSNSのようにギスギスの行き過ぎが起こっています。私も30年前に旧市内から遷り住んできた時にはどこかしら見張られている感が拭えませんでしたが、一旦あけっぴろげにしてみると一変して仲間内になりました。

最近の個人情報保護やプライバシー秘匿に関しては、グローバルには絶対に必須な会社や人もたくさんおられますが、うちのように盗られるようなたいした価値のものを持たない四国の田舎者にとっては、むしろそんなものがない方が住みやすい場合が大いにあるのであります(笑)。

四国なんでも88箇所 巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

写真
四国なんでも88箇所 巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ