おにぎり一つ一つに思いを込めて

米屋ながはら 5代目 永原三千博さん

Interview

2019.12.05

お米を食べ比べることで、おいしさを実感してもらおうと、米屋ながはらの5代目・永原三千博さんが始めたのが「超おにぎり屋」だ。約2年の準備期間を経て、2019年5月、店舗の一角にオープンした。

毎朝3時に仕込みを始める。数種類のお米を5つの土鍋で6升ほど炊き、永原さん一人で200個のおにぎりを握る。「こだわってしまう性格で、一つ一つ納得のいくおにぎりを作りたいんです」

塩にぎりは品種の異なるお米で3種類、梅・鮭・ツナマヨなど全部で16~18種類のおにぎりが並ぶ。具材に合わせてお米の品種もかえる。この日の梅にぎりは茨城県ひたちなか市産「ふくまる」、鮭は高知県南国市産「南国そだち」、ツナマヨは北海道砂川市産「ゆめぴりか」。開店前から並ぶお客さんもいて、早ければ開店1時間後の10時には売り切れてしまう。「具材じゃなく、お米の品種でおにぎりを選ぶお客さんもいます」
毎日200個のおにぎりと、おはぎ、かやくごはん、バラ寿司を用意

毎日200個のおにぎりと、おはぎ、かやくごはん、バラ寿司を用意

米屋ながはらは創業129年。創業時は香川産のお米を大阪へ販売していたという。現在は、契約農家などから仕入れたお米を50種類ほどそろえ、個人や飲食店などの法人に販売している。店頭販売だけでなく、配達も多い。

「北から南までいろんな産地のお米を扱っています。香川でも東かがわ市の水主や福栄、三木町の小蓑などで良いお米が作られていますよ」。店頭のお米には、一つ一つ手書きのポップをつける。生産者の写真とともに栽培方法を紹介するほか、ツヤや粘り、硬さなどの味わいも書く。

永原さんは大阪の専門学校を卒業後、会社員を経て帰郷。米屋ながはらに入った。お米の品種や食べ方に精通する「お米マイスター」の資格を取得し、販売に携わってきたが、お店の将来を想像すると、若い世代にもっとお米を食べてもらわなければと思った。「娘の授業参観に行くと、給食のとき子どもたちがおかずは食べるけど、ご飯を残すんですね。それが米屋として悲しくて。子どもに食べてもらいたくて、昔話に出てくるおにぎりをイメージして作っています」。力を入れず転がすように握るのがコツだという。
店内のお米には、1種類ずつ手書きのポップをつける

店内のお米には、1種類ずつ手書きのポップをつける

「米屋は真面目が一番」と話す。配達は荷物を届けるだけでなく、お客さんとコミュニケーションが取れるチャンスだと捉える。店頭でもお客さんとの会話を大切にする。「店でおにぎり教室を開催したい。土鍋でのごはんの炊き方を知ってもらい、家で家族みんなで食べてほしいですね」

永原さんにはもう一つやりたいことがある。「ながはらには四国のおいしいお米が全てそろっている、そんなふうにしたいと思っています」

現在、香川大学教育学部附属高松小学校で出前授業をしている。授業の中でこれから子どもたちが考えるおにぎりは、超おにぎり屋の新商品になる予定だ。
毎朝3時から仕込み

毎朝3時から仕込み

鎌田 佳子

永原 三千博|ながはら みちひろ

略歴
1979年 高松市生まれ
1998年 大手前高松高校 卒業
専門学校を卒業後、会社員などを経て
2002年 米屋ながはら 5代目

米屋ながはら

住所
香川県高松市松島町3‐1
代表電話番号
087-831-2822
事業内容
お米の小売・卸売、おにぎりの製造・販売
営業時間
9~19時(日・月曜日を除く)。おにぎりの販売はなくなり次第終了
地図
確認日
2019.11.29

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