世界に貢献する「総合技術商社」へ

大豊産業 社長 乾 和行さん

Interview

2019.11.21

小型部品の組み立てなど、左右の腕で別の作業が可能な協働型ロボット「YuMi」とグータッチする乾さん=高松市寿町の大豊産業本社

小型部品の組み立てなど、左右の腕で別の作業が可能な協働型ロボット「YuMi」とグータッチする乾さん=高松市寿町の大豊産業本社

“困りごと”を技術で解決

「電気、通信、工場、新エネルギー……私たちの仕事は、社会のあらゆる“困りごと”を技術で解決することです」。大豊産業を率いる乾和行さん(35)は力を込める。

「提案力と創造力を備えた『総合技術商社』を目指していきたいと思っています」

守備範囲は多岐にわたる。1949年、乾さんの祖父が、四国電力グループを主要取引先に、電気機材の卸売業として創業。プラント工場や横河電機など大手の取引先を開拓し、商社としての礎をつくった。

電力自由化に危機感を抱いた2代目の父は、電力分野以外の販路を模索した。制御・計測機器の販売やメンテナンス、太陽光発電などの新エネルギーの他、人手不足の解消や省力化・自動化をテーマに、ロボット、カメラ、AI技術などを駆使したIoT関連に注目するなど事業を拡げた。

「いまの我が社の大きな強みは、様々な特徴を持つグループ会社の存在です」

制御機器を製造・販売する新立電機(山口県)。電力・交通・プラントなど様々な分野の製品を製造・販売する土井製作所(東京都)。太陽光発電の発電効率を上げるブースターなど産業用電気機器の販売・エンジニアリングを行う大豊G&N(東京都)。産業用機械を設計・製作するヤザック(神奈川県)とは、ロボット・IoT 事業での協業を進めている。

「祖父が創業した大豊産業はグループ会社5社を含め従業員 400人、売上150億円まで成長した。将来、グループ会社間での協業をさらに進め、売上300億円を目指していきたい」と、乾さんは決意を語る。

「突然、社長になりました」

「社員の幸せが一番」。軸は絶対にぶれない

「社員の幸せが一番」。軸は絶対にぶれない

乾さんは大学卒業後、2008年に商社の丸紅タイ(丸紅泰国株式会社)に入った。大学時代、海外に興味を持ち、バックパッカーで約 40 ヵ国を旅したのがきっかけだった。「タイ人の優しさや文化に触れ、『いずれ家業を継ぐにしても、ここでの勉強は必ず役に立つ』と思ったんです」。タイ語を学び、衣料品の卸しや工場の生産管理など7年勤務した。「5万枚製造しても2万5000 枚が不良品、という世界。頭を抱えることも多かったが、『モノってこういう風に作られているんだ』と、工場の仕組みもよく分かった。社会人としての基礎は全てタイで教わりました」

大学院でビジネスを学ぶため 15年に帰国。修了後、33歳で大豊産業に入った。6~7年かけて、社長業のノウハウや人脈を先代の父から引き継ぐ予定だった。しかし……

「突然、社長になりました」

今年1月、乾さんはSNSでこうつぶやいた。昨年12月、父が 70歳で急逝した。「2カ月前の健康診断では全く問題なく、前日もとても元気だったんですが……」

厳しくて頑固。怒鳴られることも多く、「父のことは、正直嫌いだった」と打ち明ける。昔ながらの社長でトップダウン。「こっちに舵を切るんだ」と強引なところもあった。でも、「会社がよりよく変わるためにはめちゃめちゃ前向きだった。売上よりも利益よりも、何より『社員の幸せ』を一番に考える人でした」

父が亡くなってもうすぐ1年になる。良くも悪くも、まだまだ“父の会社”だと乾さんは話すが、「いいところは引き継ぎながら、少しずつ自分の“色”を出していきたい。みんなの意見を吸い上げられる、フラットな組織にしたいと思っています」。そして、こう断言する。

「もちろんこれからも、父が大切にした『社員の幸せが一番』という軸は絶対にぶれることはありません」

「次に生かす」営業力

制御機器などを保守点検するエンジニア

制御機器などを保守点検するエンジニア

「世の中には、私たちが考える以上に“困っている人”が多い。潜在ニーズを感じ取る力を養っていかねばなりません」

技術力がウリの大豊産業だが、乾さんは「営業力」にも自信を持つ。取り入れているユニークな研修がある。

「お客さんに“心を開いてもらう”研修です」

『聞く』『提案する』『話をまとめる』の3つで構成するもので、「こちらから一方的に『こんな商品があるんです』と話すのではなく、まずはお客さんから丁寧にニーズを聞き取ります。決してその場で終わらせず、 “次”に生かせるよう、話を必ずクロージングさせる。そこまでもっていくのが肝心です」。定期的に外部から講師を招き、営業担当者は全員参加。研修で鍛えた営業力で、取引に繋げた案件は少なくない。

創業者の祖父、事業を拡大させた父を見て育った。3代目の若きリーダーが見据えているのは大豊産業のさらなる成長だ。

「“困りごと”があるところに私たちの市場はあります。一度しかないせっかくの人生、地元・四国を拠点とし、全国、そして世界に貢献できる会社にしていきたいですね」

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