直接出かけ、地域を知る

四国経済産業局長 土橋秀義さん

Interview

2019.12.05

「地域経済の活性化は、経済産業局の使命。そのためにはまず実際に出かけて現場を知ることが大切だと思っています」。そう強く感じるきっかけとなったのは、4年前に「内閣府原子力災害対策本部原子力被災者生活支援チーム」に出向した時の経験だった。原子力事故による被災事業者等の生活再建、事業の再生や活性化などを支援するため、国や県、民間企業で「官民合同チーム」を結成し、被災市町村で事業を行っていた約8000の事業者に対し、1件1件訪問して様々な課題や要望を聞きながら解決に向けた支援を行っていく仕事に携わった。

「これまで中小企業支援に携わったことはあっても、あらゆる事業者の方々から話をお聞きする経験はありませんでした」。それぞれの事業者に寄り添い、その事業に適した再開をどうしていくのか、商圏を失った事業者の新たな販路をどう開拓していくのか。「あらゆる施策等を組み合わせながら、支援策がなければ本省に地元要望を伝えて新たな予算を獲得してもらうなど、チーム一丸となって課題を解決していった。本当に勉強になりました」

同時に、互いを理解するためには地元(地域)を知ることの大切さも実感した。「そこに初めて足を踏み入れた人が『支援したい』といっても、相手に気持ちは伝わらないし信頼感も生まれない。その地域を知り、何度も会い真剣に向き合わないと、本当の課題や悩みは話してもらえない。どこに赴任しても地域のことを知るよう心がけています」

「四国でも、昨年の西日本豪雨で被害を受けた地域には真っ先に足を運び、被災された事業者の方々と話をさせていただきました。私たちに何ができるのか。過去の経験を生かしながら時間をかけて支援をしていきたいと思っています」

プライベートでも

「ツール・ド・東北」に参加

「ツール・ド・東北」に参加

四国に赴任して2カ月で八十八カ所を回り終えた。回ったときには近くのまちに足を延ばしている。これまで四国の95市町村のうち80カ所を訪れた。史跡名勝などを訪ねながらまちの雰囲気を肌で感じている。

健康のため、10年前から始めた自転車で近郊に出かけることもある。これまで小豆島、直島や庵治半島に行き、景色を楽しんだ。「東北経済産業局にいた際は、『ツール・ド・東北』に参加しました。四国ではぜひ『しまなみ海道』に行ってみたいですね」

地域の新たな産業を

瀬戸内国際芸術祭にも出かけた

瀬戸内国際芸術祭にも出かけた

自治体や企業との連携強化は重要だと思っており、意見交換などの機会を数多くもちながらお互いを知る環境づくりを進めたいと考えている。地域の課題は複雑化しており、一つの機関だけでは解決できない課題も多いと感じているからだ。「例えば市街地の活性化、インバウンドの拡大をはじめとした観光事業、農商工連携による販路拡大など、さまざまな課題解決に向けて、私たちができる支援について情報提供をしていきたい」

経済産業省では2017年から地域を引っ張っていく企業として「地域未来牽引企業」を選定。現在、四国で244の企業が選ばれている。「今まで地域を支えてきた産業に加えて、新たな産業の芽を見つけ育てていきたい。そのために積極的に企業を回り、課題を聞き、支援をしていきたいと思います」

土橋秀義 | どばし ひでよし

略歴
1984年 日本大学法学部 卒業
    通商産業省 入省(大臣官房調査統計部統計解析課)
1995年 EJEF(英国)留学
2009年 商務情報政策局地域情報化人材育成推進室長
2011年 大臣官房総務課企画官(住宅産業・建材担当)
2013年 経済産業政策局産業組織課競争環境整備室長
2015年 内閣府原子力災害対策本部原子力被災者生活支援チーム
2017年 東北経済産業局総務企画部長
2019年 大臣官房企画官(労務担当)
    7月 四国経済産業局長 

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