地域に根差す人と文化を常にリスペクト

住友商事 四国支店長 髙橋一郎さん

Interview

2022.04.21

各エリアの拠点を通じて地域の経済界と連携を深め、その土地の課題解決につながるさまざまなビジネスを創出する住友商事株式会社は、「対象分野はすべて」とも言える幅広いチャンスの発掘を得意としている。四国支店長として、地域経済の只中で情報収集に努める日々だ。

知見を広げた海外赴任

メッカ巡礼から戻った バングラデシュ・ダッカ事務所のスタッフと

メッカ巡礼から戻った
バングラデシュ・ダッカ事務所のスタッフと

入社当初は鉄鋼部門に配属。自動車や家電向けの鉄材のトレードに東奔西走し、台湾、インドネシア、中国とキャリアを重ねた。中国駐在当時は、冬の気温がマイナス20度にもなる吉林省でエネルギッシュな現地スタッフたちの中に混じり、「これぞ商社マンの醍醐味だ」と張り切ったことも。「もう世界中どこでも戸惑うことはないな、と自信がついた経験でした。いろんな国の人たちと仲良くなり、文化に触れるのは本当に楽しかった」

2013年に東京に戻って特殊鋼板担当となったのち、初の拠点長としてバングラデシュ・ダッカに赴き、鉄以外も含めたビジネス全般を統括する立場に。「ずっと鉄のことばかりで、発展途上国でのインフラ整備やODA支援は初めての経験。新たな気持ちになったものです」と振り返る。しかしコロナ禍の影響で帰国する必要に迫られ、任期3年のうち現地で過ごしたのは2年。残る1年はリモートでつながりつつも、ついに戻ることは叶わなかった。「その次の任地が、四国だったんです」

高まる地域貢献意欲

バングラデシュのホームパーティ

バングラデシュのホームパーティ

国内地方都市の支店経営にはもともと興味があったという。若い頃は血気盛んに海外へ挑んだが、世界を知るほど日本への思いも深まった。さまざまな国で仕事をしてきた髙橋さんの信条は、「その土地のスタッフをリスペクトする」こと。その姿勢は国内でも変わらない。「地域に根差す人たちの能力や経験値、地域性を上回るものを、外から来た私たちは持ち込めません。四国は本当に素晴らしい土地。堅実で欲のない四国の人たちが昔から守ってきた土地の良さを損なわないために、新しいものを持ち込む際も『自然との共存』は四国で展開するビジネスにおいて大きなテーマだと感じています」

長いキャリアで四国が初めての単身赴任。公私問わず地元の人たちと広い交流を楽しむ日々だ。地域の課題解決に貢献するため、土地に溶け込むだけでなく、外からの目線を持つ『異物』として自分の意見をはっきり打ち出すことも常に心掛けている。自身のキャリアについて「ビジネスの先頭で指揮を執るべき40代後半を過ぎ、後進に何を残せるかを考えるようになった」と心境の変化ものぞかせつつ、「今は任期のことを考えず、ここに骨をうずめるつもりで、地域への貢献にますますプライオリティを置いていきたいですね」と語った。

戸塚 愛野

髙橋 一郎 | たかはし いちろう

略歴
1968年 群馬県高崎市生まれ
1991年 早稲田大学法学部卒業
     住友商事株式会社 入社
     鋼材貿易第一部 配属
1999年 薄板貿易第一部
2000年 台湾住友商事 台北本社
     インドネシア PT.SUPER STEEL INDAH
2005年 住友商事株式会社 名古屋鉄鋼第一部
2009年 中国 長春一汽宝友鋼材加工配送有限公司 副総経理
2013年 住友商事株式会社 特殊鋼板事業部
2016年 同 特殊鋼板事業部長
2018年 アジア大洋州住友商事会社 ダッカ事務所長
2021年 住友商事株式会社 四国支店長

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