
農林中金は、農協・漁協・森林組合や地元企業と連携して、農林水産業と地域と食を支える。支援の形は融資だけではない。有名百貨店や大手スーパーとのネットワークを生かして地元の農林水産物をアピールする。企業が農業分野に参入する際は、地元の農産物と競合するかどうかも考えながら事業提案をする。「金融商品を売るだけではなく、まず自分は“第一次産業の宣伝マン”だと思って仕事をしています。マッチングがうまくいって、両方からありがとうと言われると充実感があります」
経営指導の仕事に携わった時は、相手先に厳しい話をしなければならないこともある。意見が対立して言い合いになった人もいる。ところが、異動が決まって挨拶に行くと「あの時は耳が痛かったけど、言ってくれなかったら手遅れになっていた」と感謝された。「その時はつらくても、この人のために何ができるか、本気で考えることが大事なんだと気づかされました」
大切なのは、まず相手先を知ること。後輩や部下にはできるだけ現場に行って“無駄話”をするよう伝えている。会社の名前の由来や、この場所で農業を始めた理由を聞いたら、その人の信念が分かるかもしれない。相手先の方がその道のプロだと自覚して丁寧に話を聞く。「相手先に寄り添うことで、いいアイデアも浮かぶ。上司から指示された仕事ではなく、自分からやりたいと思える仕事が見つかると思います」
香川は豊か

キャンプの様子
県外から友人を招いた時は、まるで観光大使のように香川を案内している。「うどんや骨付き鳥など、食べ物について話をする時は、ついでに農作物や瀬戸内の魚のこともアピールしています」

小豆島のそうめんの箸分け
残さず食べる
農林漁業は食料を供給するだけではない。「農業は土地が荒れるのを防ぎ、漁業者は他国の不正操業や密入国の危険を察知し、山の木は水を蓄え土砂崩れを抑える。いろいろな面で私たちの生活を守っている。「そんな第一次産業の役割を多くの人に知ってもらいたい。そしてそれを支える仕事をこれからもしていきたいですね」
石川恭子
奥田 康一郎 | おくだ こういちろう
- 略歴
- 1970年 横浜市生まれ
1989年 聖光学院 卒業
1993年 上智大学法学部 卒業
農林中央金庫 入庫
2006年 和歌山事務所次長
2008年 大阪支店業務第四課長
2009年 大阪支店次長
2010年 人事部部長代理
2012年 金沢推進室長
2016年 総務部副部長
2017年 JAバンク企画推進部副部長
2018年 高松支店長
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