非効率でも対話を大切にしていきたい

株式会社UMOGA 社長 蒲生 宰実さん

Interview

2022.04.21

店舗やイベント会場などで見かける「のぼり」。生地を選んでデザインを決め、印刷、縫製、という工程の中で、印刷をメインに手掛ける業者は多い。しかし、「UMOGA」(ウモガ)は、打ち合わせからデザイン制作、印刷、縫製まで一貫して行うのぼり製造の専門店だ。その商品数は8500種、うどんののぼりだけで1000種を超える。

「のぼりは、限られたスペースの中に、お店のイメージやおすすめ商品のことなど、さまざまな情報がつまっています。それをひと目で伝える最善のデザインを形にできるのも、のぼりを創業から扱ってきた当社の良いところだと思っています」と代表取締役・蒲生宰実さん(36)は言う。全工程を自社で行うことで、時間のロスもなくお客さんの要望に応えることができるのも特徴だ。
高い耐久性を保つ縫製

高い耐久性を保つ縫製

社長に就任したのは30歳だが、20歳のときから家業に携わってきた。高校2年のときに父が急逝し、母が2代目の社長に就任。2人の姉とともに母を支えてきた。新商品の企画のほか経営にも関わったものの、「当時は社長の思いをくみながらという感じ。自分の中で、覚悟が決まっていませんでした」

決意したのは30歳という節目の年齢と、自身の甘えを断つため。「会社をもっとよくしたい」という思いも大きくなっていた。

まずは、社長としてやっていくため、すべての工程を一から学び直した。「縫製は難しくて。まっすぐいかないんですよ(笑)」。ひと通り経験することで、それぞれの工程の技術者がいるから質のいい商品ができることを実感、自社の強みを再認識した。その強みを生かすにはどうすればいいか。試行錯誤が始まった。
豊富なデザイン

豊富なデザイン

当時はカタログ通販が主体で、県外のお客さんが大半だった。それに加え、県内企業への販売にも力を入れるようにした。それは、顔の見えない通販で、お客さんの声を聞き取れないもどかしさがあったからだという。

「効率だけを考えれば注文を受けたものを作って納品すればいい。でも、非効率なことを大事にしたいと思っています」。効率だけを追い求めると、現場のリアルな声から遠ざかってしまう。お客さんの悩みを解決するためには、対話が不可欠だと感じた。そこで、事務所にショールームをつくり、お客さんに来てもらえる場所を作った。

「非効率でもいい。信頼関係を築いて長いお付き合いをしていけたら。地域のお客さんを増やしていきたい。ウモガののぼりが街にあふれるようになれば、お客様の特長を生かしたデザインが増え地域の活性化につながるはずです」。通販から、地域密着型へ。デザイン、縫製、使い勝手などの提案力と商品力で、地元の店舗の販促やPRに貢献していきたいと言う。
社長になって6年。経営判断を迫られるたびに、創業者である亡き父ならどうするだろう、と考えることがある。「父にいろいろ聞いてみたいです。いま自分がやっていることをどう思うだろう、とか。教えてもらいたかったこともたくさんあります」。父とはかなえられなかったが、「いつか息子と一緒に会社を、という夢もあります」

佐川 美穂

蒲生 宰実 | がもう おさみ

略歴
1986年 木田郡三木町生まれ
2004年 松山聖陵高等学校 卒業
2006年 有限会社スクリーン製版テクニカ(現 (株)UMOGA)入社
2011年 専務取締役 就任
2016年 代表取締役社長 就任

株式会社UMOGA(のぼりのウモガ)

住所
香川県高松市前田西町1080-1
代表電話番号
087-847-7512
設立
昭和61年 4月21日
社員数
13名(令和元年5月)
事業内容
のぼり旗、のれんをはじめ、販促ツールの企画製作・販売
資本金
500万円
地図
URL
https://www.nobori-noren.com/
確認日
2022.04.21

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