あなたの近くに市場ができましたよ

きむら 代表取締役社長 木村 宏雄さん

Interview

2010.07.01

新しい事業を興す時・・・・・・。凄まじいほどの覚悟と膨大なエネルギー、努力が必要だ。そして何よりも「必ずできる」という想いがなければならない。そう感じる。

「他人にできて自分にできないことはない、と想ってやってきました」と株式会社「きむら」の代表取締役社長木村宏雄さんは話す。

しかし、悲壮感がない。資金繰りに困った事、商品が全く売れなかったことを豪快に笑いながら話す。

「好きなんですよ。商売がしたかったんですよ」と木村さんはまた笑った。

「ほうれん草」がわかりませんでした

サラリーマン。大手ゼネコンの経理担当だった木村さんが会社を辞めたのは35歳の時だった。

「このままではどこまで行っても歯車でしかない。自分でどこまでできるかやってみたい」という想いから組織を飛び出した。

そして「やるなら現金商売」と選んだのが妻の実家の家業である”スーパーマーケット“だった。しかし、サラリーマン経験しかない。

初めて青果市場に行った時、ほうれん草がどれかわからず担当者に「おちょくっているのか!」と怒鳴られた。

生鮮4品で売上の7割なければ生き残れない

「魚の仕入れが2万円、売上8000円の時は、さすがに嫁さんが心配しました。でも、そのうちなんとかなると必死で説得しましたよ」と木村さんは当時を笑いながら振り返る。しかし、木村さんにははっきりと目指す店のイメージができていた。

それが、生鮮4品で売上の7割を超える事だった。メーカーの作る食品、調味料、菓子は値段に限界がある。その点「青果」「鮮魚」「食肉」「花き」の4品は自分たちで仕入れ価格を決める事ができる。特に「花き」を除く3品の売上。これがスーパーの生き残る道だと信じた。

そしてもう一つ、この4品を一般客だけでなく、飲食店の仕入れ担当者もターゲットにした。生鮮食品の専門店である。

そのために・・・・・・

市場に通って写真やメモを取りながら目利きの修行をしながら、人間関係も作った。そして食肉や魚のさばき方も勉強した。さらには、料理教室にも通った。お客様の喜ぶ惣菜を出すためだ。

「仕事をしながらですからね。疲れてるし眠いし、普通1年が卒業まで2年もかかりましたよ」と木村さんはまた豪快に笑った。

職人集団を作りたい

「凝り性というか、好きなんですよ」好きだからこそ、自らも極めないと気がすまない。木村さんの言葉はプロフェッショナル、「職人」の言葉だ。

そして、きむらが最も大切にするもの。それは生鮮食品を仕入れるプロであること。そのために、目利きから市場担当者とのコネクションを持つ職人集団作りを目指した。これによって飲食店などプロの信頼を得る事もできる。結果、きむらはスーパーマーケットというより食肉、鮮魚、青果が独立した専門店の集合体、「市場」となった。

ただ、食材だけではいけない。素材を生かすための香辛料や調味料、それに店を訪れる子どもたちのための菓子やアイスクリーム。これがそろっての「スーパーマーケット」だと木村さんは言った。

人間関係が全て

「本当に厳しいですね。大手のスーパーがここまで価格競争に入ってくるとは思いませんでした」。ここ10年の地元のスーパーマーケットを取り巻く環境を木村さんはこう話す。

ただ・・・・・・

この安売り合戦はいずれ終息するだろうとみている。「お客様も安いだけでなく、たまにはおいしいものを食べたい。基本はおいしいものです。そのために本物を提供する事が大事なんです」。この信念で、きむらはこの約10年で店舗数を8店舗にまで増やしている。この他にも出店計画が進行中だ。

この根本にあるもの・・・・・・

「人間関係ですね」と木村さんは断言する。

きむらでは今年4月から志度の魚市場の経営を手掛けている。存続が危ぶまれていた市場。このままではお世話になった漁師さんが苦労して獲った魚の売り場を無くしてしまうという想いからだ。

市場で本物を仕入れ、本物を売る・・・・・・

そこには、お客様ときちんと向き合って売るという姿勢と、売り手と買い手を超えた人と人との信頼関係がある。そして、木村さんは「これこそが、これからも生き残っていくために最も大切な事です」と人懐っこい笑顔で答えた。

スーパーと言うより市場

店を入るとまず驚くのが入り口に豪快に並ぶ大量の野菜。そしてさらに入ると箱売りされる鮮魚がこちらも大量に並んでいる。さらに奥には精肉が圧巻なまでラインナップされている。まるで市場の雰囲気だ。

いずれも、きむらの社員が高松中央卸売市場などで目利きして競り落としてきた商品だ。

木村 宏雄

株式会社きむら

住所
香川県高松市太田上町1090-1
代表電話番号
087-868-5000
設立
1963年
社員数
906名(うち男性367名、女性539名)
事業内容
生鮮食品中心のスーパーマーケット
資本金
5,000万円
地図
URL
http://www.skimura.jp/
確認日
2021.08.24

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