おいしさと機能性を両立し、麦の新しい世界を開拓

大麦のパンケーキミックス、アスリートのためのパスタ/吉原食糧

Topic

2019.12.19

おいしさと機能性を追求した商品たち

おいしさと機能性を追求した商品たち

製粉業の吉原食糧(坂出市)は、5年ほど前から機能性を持たせた商品の開発に取り組んでいる。代表取締役社長の吉原良一さんは「さぬきうどんを原料小麦粉と食文化の両面から支え、香川県産の小麦と大麦の新しいおいしさと機能性を融合して商品化する。この二つが当社の使命だと考えています」と話す。

小麦の粒は表皮、胚芽、胚乳の3つの部分に分かれる。表皮と胚芽を除いた胚乳だけを粉砕したのが一般的な小麦粉だ。胚芽の成分に着目した吉原さん。胚芽だけを抽出して加工すると、甘い上にポリフェノールを多く含んでいることが分かった。2015年、胚芽だけで作った粉末「スウィートポリフェ」(革新技術賞受賞:産業技術総合研究所四国センターなど)を発売。クッキーなどお菓子を作る際、小麦粉の一部をスウィートポリフェに置き換えれば、砂糖の使用量を減らすことができる。大手製菓会社に採用され、チョコレートや焼き菓子の生地に使われている。
小麦の胚芽だけで作った「スウィートポリフェ」

小麦の胚芽だけで作った「スウィートポリフェ」

大麦は小麦と違って粉末にせず、麦飯や麦焼酎に使われることが多い。吉原さんは県産の小麦と大麦を融合させた商品ができないかと考え、大麦の粉末化にも取り組んだ。製粉業で大麦を手掛ける会社は全国的にも珍しいという。「小麦の製粉とは機械もノウハウも全く違います。粗挽きから微粉砕まであらゆる粒形を試しました」

香川県産の大麦「イチバンボシ」と「ダイシモチムギ」それぞれの大麦粉が完成。イチバンボシの大麦粉で作ったのが「大麦パンケーキミックス」だ。水溶性食物繊維「大麦β‐グルカン」を含んでおり、食後血糖値の上昇をおだやかにするとして、機能性表示食品に認められている。

12月発売の「和菓子のようなもち麦パンケーキミックス」は善通寺市産ダイシモチムギの大麦粉を使用。パンケーキにすると、もっちりとした食感になる。こちらも食後血糖値の上昇をおだやかにし、さらにおなかの調子を整えるとして機能性表示食品に認められた。「大麦粉はいわば未開の地。まだまだ可能性を秘めています」

小麦粉に各種たんぱく質とマグネシウム、カルシウムを加え製麺まで手掛けたのが、8月に発売した「マッスルパスタ」。アスリートやスポーツ愛好者向けに考えたネーミングだ。マグネシウムとカルシウムは筋肉のスムーズな収縮を助けるという。

「食品はおいしいのが一番。機能性と両立できるのが理想です。これからも小麦と大麦のおいしさを感じられる新商品を開発したい」と吉原さん。こだわりのうどん、パン、菓子用小麦粉や大麦粉、大麦粉のパンケーキミックスやマッスルパスタは吉原食糧のホームページから個人も購入できる。

吉原食糧株式会社

住所
香川県坂出市林田町4285‐152
代表電話番号
0877-47-2030
設立
1950年
事業内容
製粉業
・小麦粉、ふすまの開発・製造・販売
・ミックス(惣菜、製菓・製パン用等)の開発・製造・販売

倉庫業
・倉庫証券発行倉庫
沿革
1902年 坂出市に精麦工場を開設
1950年 有限会社吉原精麦所を設立
1975年 資本金を4000万円に増資
1991年 吉原食糧株式会社に組織変更
1996年 香川県で初めて、(株)甚助と共同で小豆島で
    「チクゴイズミ」を自主栽培
1998年 欧州から石臼機を導入。
    香川県産・北海道産小麦の石臼ひき小麦粉を
    発売開始
2004年 NHK番組「プロジェクトX」にさぬきの夢2000
    小麦開発が取り上げられ、吉原食糧の製粉技術
    開発の取り組みが紹介された。
2007年 ハイブリッド小麦粉「讃岐プレミアム(Y8)」
    発表
2008年 製粉工場を開放して、イベント「さぬきうどん
    タイムカプセル」開催
資本金
4000万円
地図
URL
https://flour-net.com/
確認日
2019.12.12

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