代表者の年齢 60歳以上が8割超

2019年四国地区休廃業・解散企業動向調査 東京商工リサーチ

Research

2020.03.05

2019年に四国地区で「休廃業・解散」した企業は1,361件(前年比5.5%減)だった。

休廃業・解散した企業の代表者の年齢は、60歳以上の構成比が84.3%と大半を占めており(昨年の構成比は82.7%)、事業承継が思うように進まず、代表者の高齢化が「休廃業・解散」を加速する要因となっている現状がより鮮明になってきた。

※東京商工リサーチが保有する企業データベースから、「休廃業・解散」が判明した企業を抽出。「休廃業・解散」は、倒産(法的整理、私的整理)以外で事業活動を停止した企業と定義。

従業員数は4,065人

「休廃業・解散」した企業の従業員数(判明分)は4,065人(前年比1.1%増)。事業譲渡に伴うものもあり、すべての従業員が失業したわけではないが、「休廃業・解散」で4,000人余の人が勤務先の変更や離職を余儀なくされたことになる。

サービス業が最多

産業別では、最多は飲食業や宿泊業、非営利的団体などを含むサービス業他の355件(構成比26.1%)。建設業291件(同21.4%)、小売業225件(同16.5%)と続く。

一般的に参入障壁が低いといわれるサービス業は新規参入が多いものの、その分競合も激しく退出が進みやすい傾向にあり、新陳代謝が活発ともいえる。

70歳代が約4割

代表者の年齢別(判明分)は、70歳代が最も多く38.9%だった。次いで、60歳代の29.2%、80歳以上の16.1%と続き、60歳以上が全体の84.3%を占めた。17年までは60歳代の構成比が最も高かったが、18年から70歳代が最多。近年、経営者の高齢化が進む一方で思うように事業承継が進まず、これが「休廃業・解散」の増加を後押ししている様子が窺われる。

香川-13.8% 高知のみ増加

県別では愛媛が484件で最多。各県の前年比増減率は香川が-13.8%、愛媛が-11.0%、徳島が-2.1%と減ったが、4県で唯一高知のみ前年+19.5%だった。

◆◆◆◆◆◆◆◆

四国地区の「休廃業・解散」件数は2年振りに減少したが、従業員数は増加しており、雇用情勢に一抹の不安を感じる結果となった。

政府は、事業承継税制や補助金など承継支援策を矢継ぎ早に取りまとめている。親族外への承継支援にも踏み込み、今後は将来性を見据えた事業価値への評価が一層重視されるだろう。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

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