中小企業の「廃業検討率」、長引けば約7%

第7回香川県「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査 東京商工リサーチ

Research

2020.10.01

新型コロナの収束が長引いた場合、廃業を検討する可能性のある香川県内の中小企業は約7%に上ることがわかった。感染防止と経済活動の維持の狭間で、中小企業の苦境が浮き彫りになった。

※2020年7月28日~8月11日にインターネット調査を実施、有効回答122社を集計、分析。前回(第6回)調査は7月27日発表。資本金1億円以上を大企業、1億円未満や個人企業等を中小企業と定義した。

Q1.企業活動への影響は?

最多は「影響が継続している」で76.2%。「現時点で影響は出ていないが、今後影響が出る可能性がある」が18.9%、「影響はない」が3.3%だった。

Q2.国や自治体の支援策利用は?

国や自治体、金融機関などが行う新型コロナに関連した資金繰り支援策の利用状況を聞いたところ、「利用した」と回答した企業は42.7%だった。「今後利用する可能性がある」は17.1%で、合計59.8%の企業が利用について言及している。

「利用した」と回答した企業に内容を聞いたところ、50社から回答を得た。最多は「日本政策金融公庫の実質無利子・無担保融資(新型コロナ特別貸付)」の26社、次いで「民間金融機関の実質無利子・無担保融資(信用保証付き)」の24社。「持続化給付金」は22社で、「雇用調整助成金」21社と続いた。

Q3.支払いの延期要請は?

取引先からの支払い延期要請について、「ある」は6.3%、「ない」は93.7%だった。新型コロナの影響によって売上が落ち込む中での回収遅延は、財務余力の乏しい中小企業にとって致命傷になりかねない。支払い遅延の連鎖を防ぐための支援も欠かせない。

Q4.「廃業」を検討する可能性は?

コロナ禍の収束が長引いた場合の、「廃業」(すべての事業を閉鎖)を検討する可能性について聞いた。規模別でみると、大企業で「ある」と回答した企業はなく、中小企業では6.7%が「廃業」を検討する可能性があると答えた。

緊急事態宣言は解除されたものの、都市部での感染拡大が続き、自治体の時短要請や自主的な移動自粛は継続している。これらを背景に、コロナ禍の長期化やコロナ以前の経済状態に戻ることが難しい失望感が日増しに強まっていることを示している。

政府や自治体はこれまで、資金繰り破たんを防ぐ施策を矢継ぎ早に実行してきた。新型コロナ感染拡大から半年を経て、倒産や廃業を乗り越えた企業の持続可能性に繋がる支援策と道筋の提示が、必要な時期に差し掛かっている。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ