はじめて年間5万件を超える恐れ

2020年1~8月「休廃業・解散企業」動向調査(速報値) 東京商工リサーチ

Research

2020.10.15

2020年1~8月に全国で休廃業・解散した企業は3万5,816件(前年同期比23.9%増、速報値)だった。このペースが続くと、年間5万3,000件を突破し、2000年の調査開始以降最多だった18年を大幅に上回る可能性が出てきた。

※東京商工リサーチが保有する企業データベースから、「休廃業・解散」が判明した企業を抽出。「休廃業・解散」は、倒産(法的整理、私的整理)以外で事業活動を停止した企業と定義した。19年(年間)「休廃業・解散企業」動向調査は、20年1月22日発表。

過去最多更新の勢い

調査開始以降、休廃業・解散数が最も多かったのは18年の4万6,724件で、19年は4万3,348件(前年比7.2%減)だった。各都道府県の事業承継ネットワークを通じた事業承継診断を含むプッシュ型支援の展開や民間での取り組み強化などが、19年の押し下げに繋がったとみられる。

だが、20年1~8月は一転して大幅に増加した。事業承継が円滑に進まない中、2月から感染が拡大した新型コロナウイルスで急激な業績悪化に陥り、先行きが見通せないまま事業継続の意欲を喪失した企業、経営者が増えた状況が透けてみえる。

サービス業他は1万件超

産業別でみると、トップはサービス業他の1万1,144件(構成比比31.1%)だった。建設業、小売業、製造業、卸売業と続く。増加率でみると、金融・保険業が前年同期比45.9%増。以下、建設業、サービス業他、運輸業と続く。

上位は金融商品取引業

産業を細分化した業種別でみると、母数500件以上で増加率が最も高いのは、「金融商品取引業、商品先物取引業」で、19年1~8月より67.2%増の756件だった。このうち、303件は合同会社で300件が解散だった。コロナ禍での先行き見通し難から会社清算を選択したとみられる。次いで、「政治・経済・文化団体」で、52.8%増の1,813件だった。このうち、1,535件を特定非営利活動(NPO)法人が占める。NPO法人は、経営基盤が整っていない法人も多く、コロナ禍が直撃した可能性がある。
20年1~8月の休廃業・解散が、大幅な増勢ペースをたどっていることがわかった。
コロナ禍の長期化が予想されるなか、休廃業・解散の増加は避けられないだろう。再チャレンジ支援と同時に、年齢的に引退の時期を迎えた高齢の経営者や従業員への支援など、経済政策と社会福祉を絡めた、複層的な議論が必要になっている。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

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