コロナ禍で企業倒産と対照的な動き

2020年香川県「休廃業・解散企業」動向調査 東京商工リサーチ

Research

2021.02.18

2020年(1~12月)に香川県で休廃業・解散した企業(以下、休廃業企業)は、365件(前年比4.9%増)だった。00年の調査開始以降、16年410件、18年404件に続く3番目の多さだった。20年の企業倒産は、コロナ禍での政府や自治体、金融機関の資金繰り支援策が奏功し、37件(前年比41.3%減)と減少しただけに対照的な結果となった。

※東京商工リサーチが保有する企業データベースから、「休廃業・解散」が判明した企業を抽出。「休廃業・解散」は、倒産(法的整理、私的整理)以外で事業活動を停止した企業と定義した。

10年以上20年未満が最多

業歴別の構成比は、最多は10年以上20年未満の19.4%。次いで、30年以上40年未満の17.8%。業歴20年未満は36.9%で、前年(32.6%)より4.3ポイント増加。比較的業歴の浅い企業の比率が相対的に高まっている。

サービス業他が増加

産業別では、最多は飲食業や宿泊業、非営利的団体などを含むサービス業他の102件(前年比15.9%増)だった。以下、建設業79件、小売業54件と続く。建設業は後継者や技術者といった人材不足に悩んでいる企業が多い。また、サービス業は元々新規参入が容易である反面、競合も激しく退出が進みやすい傾向があるなか、新型コロナウイルスの影響も大きいものと見られる。

従業員は1,083人

休廃業企業の従業員数(判明分)は合計1,083人(前年比13.6%増)で、3年連続で増加した。事業譲渡に伴う休廃業・解散もあり、すべての従業員が失業したわけではないが、休廃業・解散で1,000人超が勤務先の変更や離職を余儀なくされたことになる。

70代の構成比が4割超

代表者の年齢別(判明分)では、70代が最も多く42.5%だった。次いで、60代の25.8%、80代以上の19.4%と続き、60代以上が87.6%を占めた。60代の構成比は前年比6.7ポイント減少したが、70歳代の構成比が前年より5.4ポイント増加。承継支援への取り組み強化もあり60代の事業承継が進むが、70歳以上の企業への支援では効果に差が生じている可能性がある。60代でも承継相手を見出せないまま、70代を迎えた代表者も多いとみられる。
政府や自治体、金融機関はコロナ禍の支援策として、1)給付型(持続化給付金や家賃支援給付金など)、2)貸付型(新型コロナ特別貸付やセーフティネット保証の適用拡大など)、3)リスケ型(新型コロナ特例リスケなど)など、矢継ぎ早に実行してきた。このため、20年の香川県の企業倒産は37件(前年比41.3%減)と減少。赤字補填を中心とした資金繰り支援は、短期的な破たん回避に寄与した。だが、中長期的な事業の持続可能性の改善には直結せず、先行きを見通せず事業をたたむ「あきらめ型」休廃業を回避できていないとみられる。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ