人材確保で「攻めの経営」を支援

大都市に集中しがちな優秀な人材を地方の中小企業とマッチングし、新商品開発や販路開拓といった「攻めの経営」を後押しする目的で、全国45道府県に設置されている拠点が「プロフェッショナル人材戦略拠点」。地方創生の一環として事業がスタートした。

香川県での設立は2015年12月。各企業で直接人材を募集する場合と違い、拠点の専門家が経営者とじっくり話をして経営の課題やニーズを明確にした上で、課題解決に必要な人材を募集できる点が特長だ。求人は、拠点が連携する民間の人材ビジネス事業者に広く共有され、企業は民間人材ビジネス事業者から紹介された候補者の中から選考。マッチングが成立すれば、手数料を民間人材ビジネス事業者に支払う。「2020年12月時点で135社、308人のマッチングが成立しています」とマネージャー・梅澤秀樹さんはいう。

対象となる「プロ人材」とは、新商品開発の企画･研究ができる、経営者とともに戦略を考えられる、工場長として管理指導の経験がある……といった、専門的なスキルや経験がある人材。「当初は、都市部で経験を積んだ50代後半の方が第二の活躍の場として――というケースをイメージしていましたが、実際は30代・40代が75％ほど。即戦力となる人材が獲得できるということで、年々相談件数も増えています」

例えば、労務管理、販路開拓などの経験者を獲得した食品製造業からは、新規製品の開発が進み、これまで取り組めていなかったインターネットでの販路開拓への準備も始まった、という声が寄せられている。

香川県の拠点を通じたマッチング実績は、県外からのUJIターン人材が6割ほどで、県外からの流入が多いのが特徴だ。「地方への移住を考える際に一番重要なのは、働く場があるかどうか。少しでも多くの企業の求人需要を掘り起こすことが、私たちの役目だと思っています」。そのため、すでに1000社を超える企業を訪問してニーズを把握。「香川に人材が定着してくれることが、地域の活性化につながると思います」と梅澤さんはいう。